文香-18
「こりゃ、確かに高そうだな。高そうなんじゃなくて、高いんだ、実際」
「でもお金ならあるから」
「うん。まあ1度はいいけど1度だけだ」
「何で?」
「世界には食べ物が無くて死んでいく人がいっぱいいるんだから、食べ物に贅沢するのはいけないんだ」
「へー。竜ちゃんて凄いこと考えるんだね」
「それに、こういう贅沢な物ばっか食ってると成人病になる。成人病にならなくてもお前みたいにブクブク太っちゃう」
「そうか。それじゃ私お肉は少しにして野菜を食べよう」
「ああ、肉は俺が食ってやる」
「ちょっとジッパー開けてあげるね」
「お前、人が見てない所で大胆になってもしょうが無いんだよ」
「ううん。竜ちゃんに見せたいから」
「そうか。それじゃ少しなんて言わないでおっぱいポロンて出せよ」
「うん」
「いいおっぱいしてるなあ、お前。この肉も美味いけど、その肉も美味そうだな」
「竜ちゃん嬉しそうな顔してる」
「嬉しいんだ」
「何が?」
「お前と一緒にいることが」
「嬉しい。そんなこと言われたの初めて」
「可愛い奴だな、お前は」
「有り難う。竜ちゃん、本当に結婚してね」
「ああ」
「今からうちに帰って一緒に住んでもいいよ」
「ああ。えっ? そんなに急な話をすんなよ」
「どうして? 結婚すんなら別に待つ必要も無いじゃん。何か困るの?」
「いや、別に結婚して困ることは無いけど、あっ、お前ジッパー締めろ」
「え?」
「店の人が来る」
「あっ」
「レバサシです。これでご注文の品は全部ですが、ご用がおありでしたらそのベルを鳴らして下さい」
「はい。有り難う」
「竜ちゃんて、直ぐ有り難うって言うね」
「そうか?」
「聞いててとっても気持ちいいよ」
「そんならお前もそう言えばいい」
「はい。竜ちゃんといると私段々いい人間になって行くみたいな気がする」
「体中縛られてか?」
「これは別」
「結婚してお前のうちに住むって言うけどな、お前の父さんと母さんは何て言うかな」
「父さんは関係無いし、母さんは何も言わないと思うよ」
「何で関係無いんだ?」
「だってうちには帰って来ないもん」
「うちに帰って来ないって?」
「だから愛人のうちで生活してるから」
「愛人?」
「そう。もう私が小さい時から」
「へー。そうなのか」
「そうなの」
「それで金はどうしてるんだ。母さんに稼ぎでもあんの?」
「ううん。父さんから母さんが取って来るの。無くなると」
「へー。凄い家庭なんだな」
「そうでしょ。だから私が何しても誰も文句言う人なんかいないよ」
「母さんは?」
「母さんは私のことなんかどうでもいいって思ってるから」
「そうか? そうでもないだろ。そう思ってたら小遣いなんかくれたりするかよ」
「だから、金はふんだんにやるから、それ以外のことは文句言うなっていう意味」
「そうか? 俺はそうは思わんけどな」
「そうお?」
「まあ、良く知らないけど」
「ネエ竜ちゃん、私トイレに行きたくなっちゃった」
「行って来いよ」
「このまま?」
「ロープ解いて欲しいの? 此処で素っ裸になるって言うの?」
「それじゃ、このままするの?」
「ちょっとずらせばいいんだろ」
「あそうか」