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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-13

 壁にはムチだのロープだの様々なSMグッズがぶら下げてあり、それが一種の装飾になっている。店の奥にカウンターがあり、その横にカーテンがあるから向こう側にも何か控え室とかがあるのだろう。カウンターの前が結構広いフロアーでマイクを置けばカラオケのステージのようになるし、ダンスを踊ればダンスフロアーということになるが、此処ではSMショーの為のスペースになるのだろう。
 礼子の説明によれば女性同伴の客が2人でショーをやれば2人とも只になるのだそうだが、その場合最低限女性は裸にならなければいけないのだという。礼子が恥部を見せることになると言っていたのはこういうことだったのかと思い当たったが、すると自分はSの役で一緒にあのフロアーに出て何かしなければいけない訳で、とんでもないことだと思った。2人だけでSMプレイのようなことをやるのなら兎も角、人前でそんなことをやるのはご免である。第一SMプレイなどやったこともない。質屋で金を作ってきて良かったと思った。皮紐の服と言うよりも飾りを身につけた裸同然の女性が2人の席に来て注文を取ったが、態度も言葉も丁寧でそこらのホステスより余程教育が行き届いているように見えた。

 「ああいう人でもショーになるとムチ振り回して荒れ狂うんですかね」
 「そうよ。女は夢中になると役になりきってしまうから怖いわよ」
 「赤尾さんもですか?」
 「当たり前でしょ。私だって女なのよ」
 「夢中になってしまうんですか?」
 「そうよ。中田君がローレックス持ってなかったら、私が中田君を裸に剥いてムチでバシバシやることになってたかも知れないわね」
 「厭だなあ」
 「まあ、いずれそういう機会は来ると思うわ」
 「えー、それは勘弁して下さいよ」
 「何言ってるの。逆に中田君が私のことバシバシしばくことになるかも知れないのに」
 「僕はそういうのどっちも嫌いですから」
 「好き嫌いは言ってられないの。仕事なんだから」
 「はあ、分かってますけど女を叩くというのは僕には出来ないですよ」
 「それで相手が喜ぶとしても?」
 「うーん。そういう女性と付き合ったこと無いから想像出来ないですねえ」
 「ほら、ショーが始まるみたいよ」

 誠司達とは離れた席に座っていた男女のカップルが立ち上がってフロアーに向かっている。フロアーにはいつの間にか妙な形の椅子なのか何なのか、変な物が置かれていた。男が女のワンピースを脱がすと赤いロープで既に体中縛られていた。下着は付けていない。股間にも2本のロープが通っているが、腰骨当たりから斜めに降りてきたロープで左右に押し広げられており、性器にはロープは掛かっていないようである。
 女性は上気しているのか赤い顔をして俯いていた。多分縛ったまま服を着て外を歩いて此処まで来たのだろう。そんな訳で女は既に相当興奮が高まっているに違いない。男は女を奇妙な形の椅子の上に乗せ、脚を左右に拡げて縛り付けた。この椅子には産婦人科にある診察台のように膝と足を乗せる所が付いているのである。
 誠司は実質的な仕事始めとも言うべき今日1日で、開けっ拡げの女性器を2度も見ることになった。尤も今度は少し離れているし、客席は薄暗いので落ち着いて見ることが出来る。
 女性は腕もホールド・アップしているような形に椅子に縛り付けられてしまった。体は少し斜め後ろに倒れている。性器ばかりか肛門まで丸見えである。店内には熱い空気が漂ったが低いBGMの他は音も無かった。全員固唾を飲んで見守っている感じで、シーンという音が聞こえてきそうな程の雰囲気である。
 フロアーに立った男は手慣れた様子で女性のクリトリスの当たりに何かを貼り付けた。ローターと言われている小さなバイブレーターである。スイッチを入れるとブーンと低い音が出て、女は直ぐに呻き声を出し始めた。男が脇に移動したので、女性の股間が良く見えるようにどいたのかと思ったら、かがんで女性の口にキスをした。ねっとりしたディープ・キスをしているようだ。鼻から漏れてくる女の呻き声が悩ましい。縛り付けられた脚に力が入っているのが分かる。腰を絶え間なく動かしているのは動かしていると言うよりも動いてしまうのだろう。ライトに照らされた性器がヌラヌラと光って見える。


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