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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-12

 「これを届けた後新しく出来たショー・クラブというのに行くんだけど、これはまだ取材の下調べみたいなものなんで、客として入らないといけないのよ。雑誌の記者であることは隠して見に行くだけなの。つまり金を払わないといけない訳。いくらか持ってる?」
 「金ですか? 少しならありますけど」
 「少しっていくら?」
 「2500円あります」
 「2500円? それっぽっちでSMショー見ながら飲んだり出来ると思ってんの?」
 「はあ、無理でしょうね」
 「当たり前よ」
 「済みません。給料貰うまでは苦しいんです」
 「しょうがないなあ」
 「どうしましょう」
 「私が出すしかないでしょ」
 「済みません。給料が出たら直ぐお返ししますから」
 「いいわよ」
 「いえ、そういう訳にはいきません」
 「いいの。どうせ遅かれ早かれ見られるんだから今日見せちゃうわ」
 「はあ? 何のことですか?」
 「私が裸になって縛られれば2人とも飲み代が只になるのよ」
 「え? 赤尾さんが裸になって縛られるんですか?」
 「そうよ。だけど中田君も共演するのよ」
 「いや待って下さい。そんなことするんなら僕が何とかしますから」
 「何とかするってどうするの?」
 「これ大学を卒業したお祝いに貰ったローレックスなんです。これを質に入れて金作ります」
 「へー、それ本物だったの?」
 「はい。本物です。正価は40万円するって聞きました」
 「誰に貰ったの?」
 「お袋の知り合いです」
 「知り合い?」
 「まあ何というか僕の義理の親父に成りたがっている男ですね」
 「ああ、お母さんって未亡人だったの?」
 「いや、僕が小さい時に離婚したんです」
 「なるほど。いくつ?」
 「40です」
 「40? 中田君は?」
 「僕は21です」
 「随分若い時に産んだのね」
 「そうですね」
 「40と言ったらまだ若いわね」
 「まあ、50よりは若いですね」
 「馬鹿、そんなことは当たり前」
 「はあ」
 「それじゃ質屋で金作って貰いましょうか」
 「いくらあれば足りるんでしょう?」
 「そうねえ、2人で3万円あれば足りるかな」
 「2人分ですか?」
 「何よその顔は。それとも中田君裸になってムチ打たれてもいいの? 男でもMの役やれば只にしてくれるかもよ」
 「僕がムチ打たれるんですか?」
 「それだけじゃなくてオチンチン踏んづけられたり女王様のおしっこ飲まされたりすると思うけど。悪くするとうんこまで食べさせられる」
 「え? そんなこととても出来ません」
 「そうでしょ? だったら私の分も作りなさいよ」
 「はあ」

 何となく釈然としなかったが、先輩の言うことだからしょうがない。礼子の分は給料日に返して貰えるのかどうか確かめなかったが、返してくれなかったら授業料と諦めるしかない。今日は取材でなくて下調べの為に客として行くのだからカメラはしまっておきなさいと言うのでバッグに入れた。
 店は会員制クラブとプレートに書いてあるだけで店の名前などは何処にも表示が無かった。ノッカーでノックするとインターホンの応答があり、礼子が手帳に控えたものを見ながら紹介してくれた会員の名前と番号を言うと暫くしてドアが開いた。飲み屋などだと会員制と言ったって格好ばかりで実際は無制限に入れてしまうような店が多いのに、此処はかなり厳重である。
 店の中は暗いが、目が慣れてくると結構お客が入っているのが分かった。女性客も何人かいる。胸の所がくり抜かれた皮の服を着ている女性が2人いるけれども、これは多分ホステスというか店の従業員だろうと思われた。それは服と言うよりも飾りと言った方がいいような物で、股間が僅かに隠れている他は革紐が縦横に体を締め上げているだけで、乳房はくり抜いた穴からすっぽりと全部顔を出している。眼には仮装パーティの時みたいなアイマスクをしていた。腕と脚には鋲が沢山打ち付けてある皮を巻き、ヒールの尖ったショート・ブーツを履いている。これはどう見てもMではなくてSの役なのだろう。あんなのに身を固めると心まで冷酷なSの女王になりきってしまいそうな感じである。


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