ビッツコイン-4
普段刑事にしては服装がセクシーだと言われるマギーと華英だが、路上に客の出迎えや送迎している夜蝶に比べると地味なキャバ嬢と言った感じに見える。それでも素材の良さで道を歩く男性からの視線は集まる。
「みんなエロい目で見てくるねー。」
「まぁそう言う場所だからね。」
「きっと頭の中でマギーのオッパイ揉んだりしてるの想像してムラムラしてるんだろうなー!」
「な、何で私なのよ…」
「アハハ!」
華英の口数が多いのはエロい目で見られている事への照れ隠しなのかも知れない。太陽に変わり欲望の場所を照らすのは色とりどりのネオン。ネオンに照らされ浮かび上がるのは時間と料金、そして男の欲望を誘発する笑みを浮かべながら映る下着姿の女性の写真と源氏名。金で性欲が取引される場所に華英は生々しい性を感じずにはいられなかった。
「ねぇマギー、ピンサロって何する所…?」
「じ、自分で調べなさいよっ!」
「えー、やだぁ。検索履歴がそーゆーのだらけになっちゃうしぃ。教えてよ。」
「もぅ…。ピンサロは女の子が口で男の人にサービスするお店よっ。」
マギーも若干恥ずかしそうに答えた。
「口でっ…、何のサービス??」
「な、何のサービスって…だから…」
「だから、何ぁに??」
「もぅ!フェラチオするお店よ!」
「フ、フェラ…やぁだぁ…」
「ち、ちょっと!聞いておいて恥ずかしがらないでよ!こっちまで恥ずかしくなるでしょ!?」
「じ、じゃあ…ファッションヘルスって…?」
「フ、ファッションヘルスわぁ…」
結局全ての風俗の業種を説明させられたマギーは恥じらいを隠せない。だが佐川明子が張り付けにされた時、駅前派出所の浜崎と言う警官に華は風俗の業種を説明させていた事を思い出し、わざといやらしい事を言わされている事に気付いたマギーは更に恥ずかしくなってしまった。
「男の人はいいねぇ…。 そう言うトコがあるから。女にはないもんねー、そう言うトコ。彼氏いなかったらオナニーするしかないもんねー。あ、マギーは居てもするけど、ね!」
「放っといてよっ!もぅ…!」
そんな会話をしている2人に、いかにも呼び込みの男性が2人に歩み寄る。
「オネーサン達、遊んでく??」
スーツ姿の、意外と品の良さげなイケメンだった。しかし遊んでく?と言われ、違和感を感じたマギーは聞いてみた。
「遊んでくって、どう言う意味ですか?」
「え?だって、店以外の女の子がこの大豆街を歩いてるって事は、スッキリしたいって事でしょ??噂を聞きつけてここに来る子、最近増えてるんだよね。」
「噂って??」
「ん?女の子の性欲を満たす女性専用の風俗の噂。その中でも大人気なのが我がパッション・ローズ。最近たくさんの女性のお客さんが訪れてるからね。」
「女性専用の風俗…??」
女性専用風俗がある事自体、マギーには初耳であった。