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君と僕との狂騒曲
【ショタ 官能小説】

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君と僕との狂騒曲-19


 そしてラッカーシンナーとビニール袋。煙草を少し。これで最低な僕が出来上がる。

 コクトーの次に読んだのは史上最悪の文学のひとつであるギョーム・アポリネール。「一万一千本の鞭」を読み終わったとき、衝動的に僕は今までなかった程の深い傷を作ることになった。血と汗と涙と精液にまみれた僕は、とてつもない闇の中に墜落した。終わりのない、ない、ない、ない、ない闇の中へ。

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 気がついたら僕は学校の廊下に立っていた。プリーツのスカートに隠れた足下に風が流れている。振り返るとそこには洗面所の鏡があり、大渡のつんとした美しい顔と、久美子そっくりな、はちきれそうな胸が盛り上がっていた。
 僕はすごく焦っている。早く君を、早く君を見つけなきゃ。もっと早く、もっと
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 照りつける陽射しに目がくらむ。

 結局、単にツキの問題かな、と僕は考えた。大串のラット班には水野というすらりとした優秀な次長がいて、班長の手を煩わせることはなく同級生や年下のメンバーに的確な指示を与えていただけでなく、使い方は天性のものだった。

 バッカーノのところにはヤンマーという凄いパワーの次長に恵まれ、杉の木を切り落とした頑丈な、おそらくは多摩一団の歴史に残るであろう素晴らしい竃を組み上げた。

 僕は早くも部下に手を焼いていた。二級のフランケンはまだなんとかなるとして、初級の二人にはもうお手上げ。基本的に教育に優れていた僕でさえお手上げだったという事は、隊長にしたって隊付にしたって結果は同じようなものだったろう。

 事実上君を除いた四人の半分は使えない。厳しいとしか言いようがない。君の予言した楽観的な観測は見事に外れた。僕はとにかく、口を開いているだけの連中のために、炊事だけに専念した。やらなくてはならないどんなことがあっても、食わせるだけはしなくてはならなかったから。でも、初級の二人でふざけて味噌汁の鍋をひっくり返したとき、さすがの僕もキレた。やつらの襟首を両手でぶらさげ、水源の谷に放り込んだ。
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 ここでちょっと、僕らのマイホーム・ヴァレーのある丘陵一部について説明しなくてはならない。それは「千里穴」という名で呼ばれた大規模な地下通路である。

 「千里穴」の玄関口は確かに、自然が作り上げたような体裁ではあるが、その奥は真四角に切りそろえられ、中央には30cmほどの水路が掘られている地下通路になっていた。

この地下通路は碁盤の目のように規則的だが、中心を離れるとかなりややこしくなり、直進性もなく、完全な迷路となっている。そしてときたま1m四方ぐらいの穴があり、空気と光が漏れていた。

 だから道の上の方にぽかり、林の奥にぽかりと、周囲の山全体にそんな黒い穴が口を開けているのが無数に見つかる。

 僕らはスワロー班の時代に何回か、実際に探検したことがある。危険だから毛糸のはじを入り口近くの木に結び、いつでも戻れるようにして穴の中に潜り込んだ。随分奥に入った頃、先頭を歩いていた班長が「うあ」っと声を上げて消えた。そこは道がぷっつりと切れて、結構深い池があった。おおげさに言えば「地底湖」である。班長はそこに落ちてしまった。みんなで引き上げた班長の唇は紫色だった。水は猛烈に冷たかった。

 その丘陵はほとんどが硬い砂の塊だ。加工はかなり楽だったろう。じゃあ何故こんな通路を誰が作ったのか。恐らく「軍事目的」じゃないかと思っている。町田にはやはり同じように武器格納のための地下拠点が存在する。一説には(かなり怪しいが)遠い街の施設と繋がっていたという話もあった。

 タイガー班の時も一回潜りこんだ事があったが、出口が生暖かく浅い沼になっており、瞬間的に「全員上へ登れ!待避!」と叫んだ。僕の直感。ここは蛇の巣だ。逃げる途中で青大将かシマヘビかはわからないが、少なくとも二つ抜け殻を発見。マムシじゃないので少し安心した。普通の蛇は足音で逃げ出すが、マムシは向かってくる。しかもその早さは半端ではない。マイホーム・ヴァレーには各種の蛇が居た。
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 さて、準備キャンプは谷の一番上の、水場に近いところに僕らタイガー班は陣取り、その下が本部、さらに下の杉の木の森にラット班が、一番下にホーク班が陣取った。

 なぜ僕らがその場所に陣取ったのかは理由がある。キャンプ地の中に、千里穴のひとつがぽっかりと口を開けていたからである。

 場所としてはやや不利な場所なのに、君がなぜそこを選んだのか。


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