ウラ-8
マギーは少し間を置いて頭の中を整理してから再び明子に聞いた。
「イマイチ説得力のない目的よね。もっと大きな野望があるんじゃないの?私が思うにRevolutorが得たい富はビッツコインだけじゃないでしょう。」
明子は自分が話していない内容にグイグイ踏み込んでくるマギーに隠し通せないと感じた様子で重そうな口を開く。
「ビッツコイン型のカジノをここ城南に作りたいと言ってました…。」
「カジノ…か…。」
「カジノ法案が可決され東京にカジノが出来てしまえばどんどん東京にだけお金が集まる事になるって。カジノ法案が可決する前に、カジノを建設するなら城南にという流れを作っておきたいと。ビッツコインに換金してビッツコインで遊べるカジノを作る為に、まずは城南市にビッツコインへの理解を深める事を依頼されてました。」
「ビッツコインを得るにはお金が必要。多額のお金もビッツコインもこの城南市に流し込もうって事か。賭け好きが集まれば当然絡んで来るのはセックス&ドラッグ。カジノって言うとクリーンなイメージはあるけど、所詮賭博場。常識のズレた金持ちがたくさん集まる事になる。女なんてお金で何とでもなると考えてるズレたお金持ちがたくさん集まる。でも、それだけじゃないでしょう?」
マギーは更に深く明子の心の中に踏み込む。
「…」
「その集まるお金持ちが最終ターゲットじゃないの?」
「…、のよう…ね。」
「やっぱそうなるよね。世界中の富豪が集まる事になるだろうし、中には表舞台に立てないような仕事で巨万の富を得ようとしている人らも大勢いるでしょう。そう言う人らと繋がりを持つ事も目的の一つだろうし、お金持ちからどんどんお金を吸い上げる事も目的でしょう。お金持ちを振り向かせるのに1番手取り早いのが色仕掛け。カジノが完成した暁にはきっと絶世の美女、イケメンを集めた接待専用のデートクラブみたいなもんを準備するはずだわ。Revolutorの野望は私達が考えてる以上に規模の大きな事かも知れないわね。」
世界中の富豪と繋がりを持ち、ドラッグが必要な時はドラッグ王と、武器が欲しい時は武器商売をしている富豪と、など、あらゆる物をその手に収め、もしかしたら日本を乗っ取ろうと考えているのかも知れない。マギーの中でこの事件に対する警戒度は一気に引き上げられたのであった。
「当然小渕愛子さんもグルよね?」
「…昔からそうだったけど、愛子は私が持って来た情報に乗っかって来るだけ。私に付き合ってただけなの。だから別に愛子は悪くない。今回の件も私が手伝わせただけだし、彼女にはビッツコインで設けて楽しく遊ばない?としか言ってないし、Revolutorの事も言ってないからきっと知らないと思う。私が違法選挙に巻き込んでしまっただけなので、申し訳ないな、と。」
「そう。分かったわ。ありがとうございました。」
マギーは佐川明子の事情聴取を終え、次に小渕愛子の取り調べに向かった。