とある温泉旅館で…5-1
とある温泉旅館で…5
朝食をとるため、私はバイキング会場へ
空いてる席を探しながら歩いてると奥の方から
男性の声が「お〜い!ワジマくん!こっちじゃ!」
私を手招きする老人がいる。小走りで駆け寄る私
「おはようございます。昨夜はご馳走様でした」
「ワシこそすまなかったね、先に寝てしまって…」
「いえいえ気になさらずに…あ、奥様…
おはようございます。」少し気まずい空気が…
「おはようございます。ワジマ様…」
何事もなかったかのような夫人の挨拶
昨夜の乱れっぷりが嘘のような清楚なイメージの
ままの彼女がそこには居た。
「いやいや…深夜に目が覚めてのぉ…」
私とリカは一瞬ドキッと…
「隣の部屋からなんぞや声がしてな…」
またしても2人ドキッ…!
「なかなかお盛んなんじゃよ…しばらくワシも
年甲斐もなく聞き耳を立ててたらな〜
股間がムクムクとしてきてな〜それがお互い
何やら名前なんか呼んでるようなんじゃが…
なんて呼んでたかまでは…ようわからんが…」
またしても2人ドキッ!!
「たぶん、リカは聞こえてなかったじゃろうな
布団を頭から被って寝ていたから…そうじゃろ?」
「ええ…全然気付きませんでした…それよりも
朝からこんな話はやめてお食事にしましょ」
「ま、それもそうじゃな…食べましょう…な…」
それから私たちは30分くらい談笑しながら
朝食を食べた。バイキング会場から部屋に
向かう間に、ご主人がトイレに行くと言って離れ
私とリカさんは近くのソファーに座る
「昨夜は最高の夜でしたよリカさん…」
「私もですわ…ワジマさん…」2人密かに周りから
見えないように手を繋いで…次第に指を絡めてく
「これからも定期的にお会いしたいな…」
そう言って彼女は私の顔を見る。私はリカさんの
手を離して「それはいけません…ご主人に悪い…
こうしましょう、またどこかの温泉でお会いしたら
また…その時は熱い夜を2人過ごしましょう。」
「……そうですね、その方がロマンチックですね」
そこに主人が戻って来たので、スッと2人離れる
「では、また機会があればご一緒しましょう…」
そうご主人は言って私とご夫婦とはここで
お別れをした。去り際のリカの顔がどこか
名残惜しそうに見えた。
リカさん…またいつか、何処かでお会いしましょう
それまで…どうかお元気で…
そんな気持ちを持って私はホテルを後にした。