Story〜夕焼けと2人の高校生〜-5
「それじゃあ、あの3人とは友達だったとか?」
「いえ、話した事が数回あっただけです。違うクラスだったので。」
「へぇ。3人とも同じクラスだったのか?」
「はい……多分そうだったと思います。」
「ふーん。それで?他に無いの?」
黄依がアイスコーヒーのお代わりを受け取りながら、屡兎に聞いた。
「うーん……他は特に無いな。細かいことばっかりで。」
屡兎は警察手帳をパラパラと捲る。
「そっか。で?警察の捜査はどこまで進んでんの?犯人の特徴とかは?」
黄依はアイスコーヒーに舌鼓を打っている。
「そうそう。それ聞きたいっすね。」
温くなったコーヒーに砂糖をもう一袋入れて里紅が飲んだ。里紅は、『冷めたコーヒーも中々いける』タイプらしい。
「犯人か?犯人は一人っていうとこまでは掴んでる。」
「まぁ、そうっすよね……。数字が書いてあるんなら。」
里紅が頷く。それに合わせて、黄依が溜め息をついた。
「それって全然分かってないんじゃん。」
「まぁ、そう言うなって。
あ!俺そろそろ戻らねーと……」
屡兎は右手にしてある腕時計を確認する。時計の針はAM11:00を指していた。
「昼から仕事があるんだ。」
「そうっすか。それじゃあまた今度よろしくお願いしま〜す。」
喫茶店のドアへと向かう屡兎に手を振る里紅。
「僕ももうそろそろ帰りますね。
コーヒー代は払っておきますので。」
「おぅ。じゃあな!」
里紅の隣の席を立ちレジで代金を払って店から出ていく、青治を見届ける。青治が帰ったということは、お代わりは自腹という事である。……まぁ、そんな事はどうでもいい。
里紅と黄依の2人(マスターを含めると3人)だけになった店内には、コーヒーメーカーの音だけがなっていた。