to Heart〜LOVE SICK〜-3
こんなに好きなのに、なんでお前はそんなに平然としてられるんだ?
お前はいつだってそうだ。
俺がどうしていいかわからないくらい周りが見えなくなっていても、お前はちゃんとすべてに目を向けてる。
仕事も友情も…すべて全力投球で。なんでもそつなくさらっとこなしちまう。
まっすぐぶつかって、傷ついて、泣いて、怒って、笑って……。
まっすぐすぎて、まぶしいくらい………。
俺はお前に似合う男になれるのかな?
俺だけがいっぱい好きな気がして不安になるよ……。
「……ケンボー。離してくれないと、サラダ置けないんだけど。」
諦めたように、千優希が呟く。
もーちょっとこうしてたかったんだけどな。しぶしぶ千優希を解放する。
「はい。」
サラダをテーブルに置いて、千優希が両手を広げる。
???
よく意味がわからない俺は、あっけにとられて千優希を見る。。
「ケンボーがそーゆー顔する時は、大概ネガティブになってる時だもんね。……おいで。」
そういって千優希が両手で優しく抱き締めてくれた。
「…あ。」
お見通しってわけか。……かなわねぇなぁ。
「いっつもケンボーはがんばってるけど、2人になるとたまにそーゆー顔するんだよね。そういう時は決まって口調が乱暴になったり、ヘコんでたりする時だから。」
……俺のこと、ちゃんと見てくれてたんだ。
俺自身でも気付かないようなこと……。
「ロス行きたくない。……千優希と離れたくない。」
自分で言ってて情けなくなってくる。子供か?俺は……。
「私も総務の仕事がんばるから、ケンボーもがんばってきて。じゃ、ロスのおみやげに、携帯で写真撮ってきて。ケンボーがキレイだなって思ったとこ。楽しみに待ってるから!」
「……わかった。」
俺は一生、千優希にかなわない気がする。
おまえはやっぱり不思議なヤツだ。
壊れそうに脆いかと思えば、どんなものにも負けない凛とした強さを持っている。
お前は俺のどこを好きと言ってくれたんだろう?
俺、がんばるから。お前に恥ずかしくないように、一生懸命がんばるよ。
「今日は芹香と買い物なんだ♪」
駅に向かって、二人一緒に部屋を出る。
千優希が笑顔で今日の予定を一生懸命話してくれる。どーしてこんなにかわいいんだろう……。
今までは独り占めできなかったこの笑顔が、今日からは俺だけを見ていてくれる。
少し広い通りに出たとこで、スッと千優希の手を握った。少しでも離れたくなくて……。