ユリ-10
「いやいいよ。只でユリちゃんの裸を見せて貰うんだからお茶くらい自分で買うよ」
「私の裸って魅力的ですかぁ?」
「うん、今まで付き合った男も皆そう言ってくれただろう?」
「そうですねぇ、お前のいいとこは体だけだっていつも言われてました」
「そんなことは無いよ。体もいいけど性格がとても可愛いと思うよ」
「本当ですかあ? 私そんなこと言われたの初めてですよぉ」
「いや本当に可愛い性格だと思うよ。確かにその体も素晴らしいけど」
「そうですかあ、私高田さんがセックスしようとしないから私の体が余り好きじゃないのかなって思ってました」
「え? いやセックスってそんな・・・、撮影しに来ている訳だから」
「そうですけどぉ、男の人はまずセックスしないと何もしてくれないもんだと思ってたから」
「はあ、それは耳に痛いね」
「高田さんは私とセックスしようと思わないんですかあ」
「それは誘っているの?」
「別に誘ってる訳じゃ無いですけどぉ、やりたければやってもいいんですよぉ。私は全然大丈夫ですから」
「いやまあ、本当言うと最初日曜日に君と一緒に此処に来た時はひょっとしてセックス出来れば儲けもんだなって思ったりしてね。つまり下心も無かった訳じゃないんだ、白状すると」
「そうでしょう、それじゃなんでやらないんですかあ?」
「うーん、そのね、下着の撮影をするということになってかなり長く付き合わないといけなくなってしまったからね」
「長く付き合うとセックスはしたくないんですかあ?」
「いや、本当言うと馬鹿にされそうだけど、僕は女房がいるからね」
「そんなの知ってますよ、初めから。だって奥さんにプレゼントするTバック買いに来てたんじゃないですかぁ」
「そうだったね。だから1回だけの浮気ならいいんだけどずっと長く浮気するというのはちょっと僕には出来ないから」
「奥さんに悪いからですか?」
「そう。1回だけだって悪いんだろうけど、何回も同じ女性と浮気するのは浮気とは言えなくなっちゃうからね」
「なるほど、そうですかぁ」
「うん、さて時間だから続きにかかろうか」
「はい」
3日目ともなるとユリちゃんも既に慣れて、その日の最初に撮影する下着を既に身につけて待っていた。光太郎の方も慣れてきて殆ど会話も要らないくらいに互いの意思が分かってテキパキと撮影が進む。
「奥さんは高田さんが此処へ来て撮影していることを知ってるんですかぁ?」
「いや、知らないよ。女性の下着姿を撮影してるなんて知れたら殺される」
「それじゃ奥さんになんと言って出てくるんですかぁ?」
「ああ、彼女は夜の仕事だからいつも僕が出る時にはいないんだ」
「あ、ホステスさんですかぁ」
「うん、まあ自分で小さなクラブを持っているからホステス兼ママ兼オーナー」
「わあ、すんごいですね。それで高田さんの仕事は何なんですか、今まで聞かなかったけど」
「僕は無職。店の帳簿付けとかお酒やつまみの仕入はするけども仕事と言う程のことではないな」
「お店には出ないんですか?」
「うん、お客として偶に飲みに行くことはあるけど」
「誰か男がいるんですか?」
「は? ああ、店に? 店には男のスタッフはいない。ああいう所は男がいない方がいいんだ。僕も男だから酒飲みの心理は分かるんだけど。男がいるとこいつがママの亭主なのかとかいろいろ邪推してね」
「でもトラブルがあった時女だけで大丈夫なんですかぁ?」
「うん、それはちゃんとヤクザに毎月払ってるから何かあれば電話するとすぐ来るんだ」
「へーえ、そうなんですかぁ」
「うん、毎月2万5000円払っていてね、来て貰ってトラブルを処理して貰うとそれは又別に2万5000円払うんだよ」
「いい商売ですね、ヤクザって」
「うん、まあ水商売はヤクザと繋がりが無いとうまく行かないから」
「うちはヤクザは要らないよって言うとなんか嫌がらせされるんですか?」
「ああ、それは無い。全然無いよ、そういうことは」
「そうですかあ、お金払わないと入れ墨かなんか見せて店に来るのかと思いましたよぉ」
「それは警察がうるさいからなのかな、全然そういうことは無いね。要らないって言えばそれで問題無く終わりに出来るよ」
「そうですかぁ」