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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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悪友たち-4

「言い伝えは、子孫の繁栄と、家族の親和を願う内容だったんだけど、そうなるためには、『あること』を実行しなさいと書かれていて・・・・・・」
 ここで少し言い淀んだ。
「その『あること』が、エッチなことなんでしょ」
 さすが奈々子だ。みなまで言うなとばかりに、真意を読み取った。
「その通り」
 悟は応え、臣吾は頷いた。

「ご先祖様からの言葉だから、強制力を感じるんだ。だけど、内容が内容だけに、本当にそんな事をしなきゃいけないのか、すごく不思議に思って、それで・・・・・・」
 そこで悟に目をやった。
 一般的には、性=秘め事の認識がある。この街では性に対して寛容だとは思うが、久美ちゃんのこともある。悟だけのことではないし、話していいものかどうか、確認を取りたかった。
「で、俺が相談を受けたんだけど、実はうちにも同じような言い伝えがあってさ」
 悟は、自ら臣吾の話をフォローした。OKの意を含んでいると思って良いだろう。
「で、どんなことをするのさ?」
 奈々子の興味は、もう性行為のことしか頭にないようだ。
「ま、ま、焦らずに」
 悟は、急く奈々子を宥めた。
「そういうことか。それで俺が呼ばれたわけか?」
 その隣で、大信が納得顔で言った。
 地元で、古くから付き合いのある大信だが、普段はそれほど行き来があるわけではない。
 元来真面目で、至って普通の男。焔民にも加入しておらず、臣吾たちとの接点はあまり無い。会えば挨拶はするが、わざわざ連絡を取ってまでツルむような関係ではない。
 それを急に呼び出すからには、何か理由がるとは思っていたが、それが何か思い当たる節が無いまま、ここに来ていた。
「今の話を聞いてわかったよ。俺が呼ばれる必然性ってと思ってたんだけど」
 事情を知らない大信からすれば、もっともな話だ。
「って言うことは」
 悟は、ニヤリと笑った。
「うちのひい祖父ちゃんは、悟んちのひい祖父ちゃんたちと、いっつも一緒に遊んでいたって聞いたことがあるよ」
 やはり、大信の曽祖父とはつながりがあった。そして、そのものズバリのことは口に出していないが、察しがついたらしい。
 察しがついたということは、栗原家にも例のフェティッシュな言い伝えが残されているようだ。

 これで、単なる推測から真実に一歩近づいたと言える。
 この言い伝えが、仲間内のお遊び的なものなのか、地域全体で行われていたものなのか、次のステップに進む。
「で、お待たせしました。ここで奈々ちゃんの登場です」
 悟が促す。
「え!?私?どうしろと?」
 まさかここで指名されるとは思っていなかった奈々子は、キョトンとした顔で、悟の目を見返した。
「みんなの家の『あること』を当ててみろってこと?」
「ごめん。説明不足だわ。まだそれにはちょっと早いんだ。大ちゃんの家もってことが分かったことで、俺たちの推測の半分は証明されたと思ってる。少なくとも3軒は、言い伝えが残されていることが分かったんだから。となると、もう半分は、奈々ちゃんち次第なんだよ。俺と臣吾の仮説は、ごくごく内輪、つまり俺のうちと、臣吾のとこ、大ちゃんとこの悪ガキトリオだけで企てた場合。これが一つの可能性。もう一つが、この地域全体でやっていた可能性」
 悟が、どこぞの探偵然に自論を唱えた。
「ああ、そういうことね」
 悟の話を最後まで聞くことなく、奈々子はその全貌が見えたようだ。
 さすがに頭が切れる。
「こういうことでしょ。もし、うちにも同じような言い伝えがあれば、それこそ地域全体でやっていた可能性が出てくる。けど、うちにそういうのが無ければ、3人組だけの話の可能性が高いってことよね」
 臣吾と悟が考えたことを、奈々子が代わりに言ってくれた。
「そう。うちのひい祖父さんたちと、奈々ちゃんとこのひい祖父さんは、同級生だったっていうから。もし、地域ぐるみなら、奈々ちゃんちにも伝えられている可能性は高いんじゃないかなって思うんだよ」
 悟は、仮説のすべてを言った。
「で、奈々ちゃんちはどうなの?」
 張本人の臣吾は、奈々子の家がどうなのか、一刻も早く知りたかった。
「ざーんねん。我が家にはこれっぽちもありませーん」
 両方の掌を上にし、おどけた仕草を見せた。
「となると、悪友どもが仕掛けた可能性が高くなってきたな」
 悟が顎を撫でながら見解を語る。どこかの探偵でも意識しているのだろうか。
「でもさ、何でそんなことする必要があるわけ?」
 奈々子が合点がいかないといった感じで言った。
「それよりも、その『あること』を教えなさいよ。まさか、ラマダンのように断食をするとか、この期に及んで期待外れなことは言わないわよね!?ねぇ?」
 脅し気味の口調で、奈々子が臣吾に顔を近づけた。
 臣吾はドキっとした。奈々子の美人顔が、目の前まで近づいてきたのだ。酒の匂いが漂ってはいるが、元々の香水系の香りが臣吾の鼻をくすぐった。
 小さい頃からの幼馴染で、既婚者であるとわかっていても、美人顔の妖しい眼差しで見つめられると、どうしても鼓動が速くなってしまう。
「スケベなことなんでしょ?恥ずかしがらないで言ってごらんなさいよ」
 こんな顔で、スケベなこと言いなさいなんて、S女のようで、その場にいた男性陣は、皆一様にゾクゾクしたに違いない。
 奈々子自身、そんなつもりなど毛頭無いのだが、一挙手一投足すべてがエロい。
 臣吾も、蛇に睨まれた蛙の如く、硬直してしまった。
「もぉ、臣吾ったら。そんなに硬くなるようなことじゃないでしょ。あ、それとも別のところが硬くなっちゃてるのかな」
 ニヤリと、下ネタを口にした。
「お待たせぇ〜」
 エロ突入と思った矢先、客も少なくなり、手が空き始めた透が、サービスでつまみを作ってくれた。
「すんませーん。さっきの話、聞こえちゃったんスけど。うちにも言い伝えあるんスよねぇ」


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