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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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悪友たち-3

 土曜日。
 昨日のうちに、大信にも都合をつけてもらえたと、透からラインが入っていた。
 本日の参加者は、言い出しっぺの臣吾、悟、大信、そして奈々子。
 何故に奈々子が、と言うと。
 奈々子の曽祖父も、善兵衛さんたちと同世代だったことが分かった。
 ちなみに、奈々子はこの街の生まれで、老舗和菓子店の一人娘。当然のことながら跡取りで、旦那は婿養子なのである。
 実際には、奈々子がジュエリーデザイナーとなり、旦那が和菓子職人として、店を切り盛りしている。
 なので、須永家と比べても、相伝的なものに関しては、もっとしっかりしているのではないかとの推測をしていた。
 つまり、奈々子の家でも同じような伝承があれば、この地域全域で同じようなことが語り継がれている可能性が高い。
 逆に、奈々子の家でそのような話が伝わっていなければ、ごく狭い範囲、仲間内だけでの話であろうことが考えられる。
 奈々子には、相談事があるとしか伝えていないが、頭のいい奈々子のことだ、何か裏があるだろうと、腹の奥で思っていることだろう。


 週末のHeat beatは、ほぼ満席。地元の客が8割を占めているだろうか。
 知った顔も多く、内容が内容なだけに、ある程度はけてからでないと、例の話はしにくい。
 悟と奈々子は、集合時間より1時間も前から来店し、飲み始めていた。
「何企んでんの?」
 勘のいい奈々子が、早くも悟に探りを入れている。
「みんなが揃ったら話すよ」
「ふふん。で、このことは久美、知ってんの?」
「一応話はしてあるよ」
「このメンバーで、家族にも話を通しておいた方がいい話ね・・・・・・」
 色々と頭の中で、今日の呼び出し内容を推察している様だった。
「ま、ま、焦らずに」
「はい、はい」

 臣吾の店は、思っているよりも早く閉めることが出来た。
 混んではいたが、オーダーストップの時間よりも早い時間に、最後の注文となっていたので、閉店時間前には、最後の客が退店となった。
 後片付けは、みなみに任せることを、前もって話していた。
 当然、今日の話の内容は、みなみの耳にも入れてあり、承諾も得ていた。
 みなみ自身も、他言されることは恥ずかしいが、それでもまだ実際にプレイしていないだけ、気持ちは楽だ。

 臣吾は、定刻よりも早く、Heat Batに到着できた。
 実は、臣吾の店からは、歩いても3分と、ほど近い場所にある。この店を指定した理由の一つが、すぐに駆け付けられる距離にあるからだった。
 店に入ると、定刻前ながら、臣吾以外の全員が揃っていた。
 他の客も、まだまだ大勢いて、すぐに、あの話をするような雰囲気ではない。
 一早く臣吾の来店に気付いた奈々子が、かなりのオーバーアクションで、2回3回と投げキッスを送ってきた。
 既に出来上がっているかのようだった。
 あの奈々子のことだ、話の内容があっち系だけに、収拾がつかなくなりそうな悪い予感に襲われた。

「早かったじゃん。もっと遅くなるかと思ったから、少し早めにスタートさせてたんだよ」
 ジョッキを上げ、悟が臣吾を迎え入れた。
「臣吾ちゃぁん。待ってたわよぉ。面白い話を聞かせてくれるんだって!?」
 近くに寄ってみて、あらためて奈々子の酔いっぷりを見せつけられた。
 かなりの酒豪で、そう簡単には酔い潰れない人間であることは知っているが、エロモードは爆発的に上昇することも知っている。
 こうなったら、暴走しないようにと、願うだけしかない。
「ごめん、ごめん。遅くなっちゃって」
「まだ時間前だから、気にしなくていいんじゃない」
 アルコールにあまり強くない大信も、少し入っているようだ。頬が赤くなっている。
「で、臣吾も来て、面子も揃ったことだし、その相談事ってのを聞かせてもらおうかしら」
 聞く気満々の奈々子は、クダを巻くように、悟に迫った。
 その眼は、既に妖しさを含ませている。
「まあまあ、そんなに焦らなくてもいいじゃん。臣吾だって、来たばっかりなんだからさ」
 悟が宥めるように言った。
「だーかーらー、いつまでのらりくらりと逃げ続けんのさ。私を呼んだってことは、エロ関係の話なんでしょ」
 やはり勘がいい。
「こっちから読んでおいて、気を持たせるのは悪いと思ってるけどさ、もうちょっと待ってよ。ほら、臣吾が喉を潤すまで、もう少しだからさ」
 何とか引っ張り続けてはいるが、そろそろ限界のようだ。周囲の目が気になるが、仕方がない。
 そう思った時、隣のテーブルで飲んでいた、床屋の親父、自動車整備工場の社長、農協の果物部会長、不動産屋の社長が席を立った。
 全員知った顔だったから、話が耳に入ることは避けたかったので、良いタイミングだ。

「じゃ、もう一度乾杯しようよ」
 全員揃ったところで、悟の音頭によって乾杯をした。
「奈々ちゃんの我慢も限界にきてますので、本題に入りますよ。臣吾、来て早々で悪いんだけど、いいかな?」
「うん。俺が言い出しっぺだから」
 ビールで喉を潤した臣吾は、半身をほど身体を前に乗り出した。

「みんなのうちにも、蔵とか倉庫があると思うんだけど、うちの倉庫から、ある書物が出てきた」
 エロい話だと思っていた奈々子は、少々肩透かしを食らった。
「うちの祖父さんから話があるって言われて、蔵の中に呼び出されたら、その書物を手渡され、代々伝わる須永家の言い伝えだって」
 事情を知る悟以外は、急に何の話だと思った。臣吾の家の言い伝えの話のどこに、自分たちが関係するのかと。冒頭の部分だけでは、推し量ることが出来ず、皆一様に不思議そうに臣吾の話を聞くしかなかった。
「すごく恥ずかしい話なんで、途中で笑ってもいいから、一応最後まで聞いて欲しいんだ」
 いよいよ確信に迫る。


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