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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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時を越えたカミングアウト-1

「え!!」
 その場にいた全員が、揃って驚いた。
「はぁ!?お前んところもか?」
 悟が念を入れて確認した。
「そっスよ。祖父さん、いやそのいっこ前か。昔の祖父さんの遺言つーか、教えって言うか、まあそんな感じの話はうちにもありますよ」
 ちょっとした衝撃だった。
 今まで推測していた、仲間内による極限られた面子でとの考え方が、覆るような透の発言だった。
「お前さぁ、ずっと聞いてたのかよ?」
 呆れ気味に悟が問いただした。
「この前ん時から、チラチラとは」
 何事もないような軽い口調で答える透。
「だったら早く言えよぉ〜」
 どこかのCMを真似たわけではないだろうが、似たような口調で悟が嘆いた。
「振り出しってことね」
 奈々子も、溜息混じりに言った。
 ようやくエロトークに花が咲こうかといった場面で、よくも横槍を入れてくれたなと言わんばかりの目付きで、透を見つめた。
「ちょ、ちょっと、最後まで聞いてくださいよぉ」
 予想外の厳しい視線に、慌てて運んできたつまみをテーブルに置いた。
「うちにもそんな話があるってのは間違い無いんスけど。うちのひい祖父さんが、悟さんとこのひい祖父さんたちと仲良かったって聞いたことがあるんですって」
「えっ!?」
 その場にいた全員が、透に視線を送る。
「そんなの聞いたことないぞ。なぁ」
 初耳だった悟は、確認をするように臣吾にふった。
「ああ、いつも名前が出てくるのは悟のとこと、大ちゃんのとこばっかりだからなぁ」
「そうそう。俺もそういう話は聞いたことないなあ」
 大信も同調する。
「俺んとこのひい祖父さんは、悟さんたちのとこの3つか4つ下らしいんスけど。いつもってわけじゃなくても、たまぁにツルむっていうか、どっちかっていうと年下なんでパシリ的だったと思うんスけど、ほら、臣吾さんちとは家が近いじゃないですか、だから後からちょこちょことくっついていくこともあったらしいんスよね。だから、その話(フェチ後継)の時に、たまたまその場にいた可能性もあるんじゃないかなって」
 そういうことであれば、無い話ではない。
「ほほぅ、そういうことね」
 奈々子も頷いている。
「だけど、そうなってくると、他にもいる可能性はあるわけだ」
 悟が、また顎を撫でながら呟く。
「ねぇ、そんなことはどうでもよくない?」
 奈々子が、口を開く。

「だってさ、結局は自分自身の問題じゃない!?他人がどう言おうが、自分がそうだと思ったら、そうすりゃいいんじゃないの!?」
 奈々子らしい意見だ。
「よそ様がしてますから、僕もやりますっておかしくない!?」
 確かに。どこの家庭でも、幼少時代にあった『誰々君の家は○○』という駄々こねに対する、親からの『誰々君とこは誰々君とこ、うちはうち』と怒られた記憶があるだろう。それと同じ構図だ。
「そもそもは、臣吾がご先祖様のあまりにもマニアックすぎる家訓ていうか、お願いを眉唾物だって疑ったことから始まったんでしょ。でも、信じる信じないは、あなた次第でしょ。じゃあ、悟はやってて、大ちゃんがやってなかったら、どうすんの?」
 奈々子のもっともな話に、臣吾は返す言葉が無かった。
「そうだよね・・・・・・。あまりにもフェチすぎる内容だったから、考え過ぎたところはあったと思う」
 ことの発端である臣吾は、半ば謝罪気味に言った。
「別に、責めてるわけじゃないんだけど。ただ、最後は自分の意志で決める方がイイと思うんだよね。嘘か真実かはどうでもいい話なんじゃないかなぁ」
 臣吾自身、目を疑うような内容に、どうしたものかと思ったことが始まりで、ここまで話が大きくなるとは思っていなかった。
 もし、パートナーがみなみのように性生活に消極気味なタイプではなくて、奈々子のような積極的なタイプであったら、話は違っていたかもしれない。
 夫婦の性生活において、良きスパイスになるなぐらいの感覚で、フェチの世界を堪能していた可能性もある。

「これ以上、ご先祖様の詮索をしても、あんまり意味ないんじゃない。臣吾にとっては。悟の興味で、深堀するのは勝手だけど、わざわざみんなで話すような内容じゃなくない!?」
「そうだね。これは、うちの問題であって、受け入れる受入れないは、俺たち夫婦で解決していくことなんだよね」
「そ。私としては、どんどん受け入れて、フェチな世界に足を踏み入れてみたらどう?って思うけどね」
 みなみも、奈々子から性のアドバイスを受けているようだし、今回の件に関しては積極的な部分も見せているので、恥ずかしがらずに踏み込んでみようとは思っている。本当は、そうしてみたいと心のどこかで思っていた。ただ、その後押しと言うか、言い訳が欲しかったのかもしれない。
 ご先祖様の言い伝えの真偽はともかく、性生活を豊かにするためには、またとない機会と捉えるべきなのだろう。

「じゃ、後は須永家で解決してもらうとして、この話はここまでにしますか。けど、折角集まったんだから、普通の飲み会として続けていいよね?」
 悟は、本来の目的を切り上げ、単なる飲み会にしていこうとした。
「ちょっと待ちなさいよ」
 悟の言葉が終わりきらないタイミングで、奈々子が声を荒げた。
「これで終わり何て冗談じゃないわ」
「でも、須永家の問題だって言ったのは、奈々ちゃんでしょ」
 悟が食い下がる。
「私は、コアな内容を聞きたいの。人を呼び付けておいて、ただの飲み会でしたで済むと思ってるの?」
「え?それって」
 臣吾は、奈々子が言わんとすることに気が付いた。
「ご先祖様の言い伝えのリアルな内容が知りたいの。とんでもないフェチプレイなんでしょ。その話を聞かずして帰れるわけないでしょ」
 語気を強めて、話を聞くまでは動かんとばかりに言い放った。


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