新たなる手口-1
ビッツコイン…、最近良く聞く言葉だ。大まかに分ければ投資の分野に入るが、株よりも知識がなくても扱えるし、少額から投資ができると言う事で特にOLを中心とした若い女性のお小遣い稼ぎとして人気だ。本格的に投資を行う者は少なく、やはりお小遣い稼ぎとして1万、2万の儲けが楽しくて軽い気持ちで扱う者がほとんどだ。
千城県警本部に戻ったマギーと華英は周りの署員らにビッツコインについて聞いた所、意外とやっている者が多い事に気付く。中垣結衣もやっていた。
「けっこう変動あるけど、そのタイミングを見て千円でも儲けが出れば嬉しくてさー。買うタイミングと売るタイミングを見計らうのが面白くて！私は5万円ぐらいしか投資してないけど、毎月1万ぐらいは儲けてるかな？」
そう言った結衣だが、殆どの者がそのレベルだろうと言っていた。よほどの野心家でなければ女性はそこらへんは堅い生き物だ。破産するまで投資と言うものをするかと言えば、そうではない。そんなライトさがうけている要因だろう。
「まず、やってみようかな。」
マギーが言った。実際自分でやってみた方が色んな事が見えて来そうだったからだ。華英も結衣に聞きながら始めてみる事にした。
「まず取引所で口座を開いて、あとは手始めに好きな金額を入金するだけ。ネットバンクから送金すればOK。」
結衣の言う通りに操作する2人。口座開設に少し時間はかかったが、ほんの1時間で1万円分のビッツコインを得る事が出来た。
「こんな簡単なんだ…」
あっさりしていて逆に不信になる。しかしこの手軽さだからウケているのだろう。後はしばらく様子を見て1万円稼ぎたいのならそのタイミングになるのを待つだけとの事だった。
スマホで変動表を見ながら結衣が言った。
「最近、一瞬だけ価値が上がる事があるのよね。そのタイミングで売れればもっと稼げるんだけど、そのあと一気に下がる事もあって、売り時が難しいのよね。前は割と安定してたからお小遣い稼ぎできるぐらいは儲けられたけど、今は良く見てないと1万円稼ぐのも大変なんだー。」
「そうなんだ。こればっかり見てるから結衣さん彼氏できないんだねー。」
華英がニヤッと笑う。
「お、大きなお世話よ！私はできないんじゃなくて作らないんですっっ！！」
ムキになって答える結衣にマズいと思い華英の口を塞ぐ。まだ傷心が癒えていない結衣に下手な刺激を与えないよう気をつけているマギーは華英を連れて去って行った。