新たなる手口-8
「まぁ多額の借金抱えた普通の女の行く末なんて簡単に想像できるだろ？」
「風俗。」
「そう。今までは、な。」
「と言うと？」
「店舗型が繁盛してる時ならそこらのソープやヘルスに幾らでも働き口はあっただろうが、今は店舗型は客も減り衰退の一途を辿ってる。代わりに店舗を持たないデリヘルが流行っているが店が増えすぎて飽和状態だ。入店したはいいが思うように稼げない女が溢れてるんだ。ビッツコイン絡みでの損失はホスト遊びで背負った借金とは額が違うからな。じゃあもっと稼がなきゃならない女はどうするか…。そんな女達を狙った、デートクラブ的な物が増えてるんだ。」
「デートクラブ？」
「ああ。何軒かのデートクラブはあるが、大元は同じらしい。初めから美人を狙ってビッツコインで大損させデートクラブで働かせる、その一連の流れは計画的で初めからデートクラブで働かせたい女を狙ってビッツコインを買わせているとの話だ。」
「どうしてまたデートクラブなんですか？」
「まぁデートクラブったってただデートするだけのものではない事ぐらい菜っちゃんだって分かるよな？言ってみれば売春させてんだよ。世の中にはいい女には糸目をつけない金持ちはいっぱいいる。そんな金持ち向けに最高の美女を斡旋して荒稼ぎしてるんだ。ここで重要なのは全ての支払いや金の流れは全てビッツコインにて行われる事だ。このデートクラブはS級美女が揃っているいると言う事で有名だ。そこに入会する為にはビッツコインを扱う必要があり口座を作る事が条件なんだ。奴らはビッツコインの市場を大きくしようとしている意図があるらしい。」
「何故ビッツコインなんですか？別に現金で支払わせて自分でビッツコインに変えればいいだけの話じゃ…」
「この場合、ビッツコインの額が問題ではないんだ、ビッツコインを扱ってる人数が重要なんだ。」
「と言うと…、意図的に相場を操作する為…ですか？」
豪はニコッと笑う。
「さすがだね、菜っちゃん。そうだ。その通りだ。相場を上げたい時には上げ、下げたい時には下げられる、それを操り新たな負債者を生む。その繰り返しで多額のビッツコインを保持しているらしい。そして最近では麻薬や覚醒剤、銃器の取引もビッツコインで行われているみたいだな。と言う事はそれらを売買するタイミングでビッツコインにより価値を下げる事もできると言う訳だ。それが新たなビジネスとして急激に増えていると言う情報はつかんでるよ。」
「犯罪者も進化してる訳ですね。」
「ああ。我々はどんどん置いていかれるだけかも知れないな。奴らからしたら我々は原子人のようなもんだろ。全く嫌になっちまうよ。」
深くため息をついた権田であった。