恋心 第一章-2
次の日…。
「桜!!大ニュース!!」
友里が笑顔で話しかけて来た。
「ついに山之内多恵が相川君に告白したらしいよ。心境は?」
「別にどうもしないけど?」本当はちょっと気になってた。断って当たり前じゃない?
「もちろん振られちゃったらしいんだけどさ、あの子、納得いかなかったみたいで。だから相川君言っちゃったみたいよ?桜がスキだって。」
噂は一気に広まった。あの山之内多恵が相川君に告白したこと。私がスキだからという理由で振られた事…。
(もう嫌だなぁ。なんで私の事言っちゃうかな。気まずいじゃん。翔君と。もちろん多恵ともなんだけど。)
今日はずっと翔君と話をするどころか、目も合わせられない。
「さーくーらっ!なにヘコんでんの?」
友里が心配そうにやってきた。そう、友里は私が翔君のことスキだって知らない。
「んー、多恵と気まずくなるなって思って。最近よく話してたのに。」
「ねぇ、桜。試しに相川君と付き合ってみれば?友達からってことで、やっぱりダメって思ったら断ればいいんだし。」
「でも…思わせぶりな態度はよくないんじゃない?」
「相変わらず桜は真面目だね。怒らないで聞いて欲しいんだけど、実はね、あたし相川君に桜の事で相談されてたの。桜のこと狙ってる男子いっぱいいるし…かと言って桜にスキな人も付き合ってる人もいないみたいだし。どうしてかなって思ってたんだけど、誰か忘れられない人でもいるの?無理に話してくれなくてもいいんだけど…逆にね、何も話してくれないからちょっとさみしいかなって思うこともあるんだよ?相川君さ、ホントにいい人だし、ちょっとだけでいいからさ、付き合ってみない?」
1週間後…
私のとなりには相川君がいた。友里の言葉に流されて、試しに付き合ってみることになった。もちろん相川君も了解している。友里の言った通り相川君はホントにいい人だった。それなりに楽しかったけど、予想通り多恵とは気まずくてほとんど話してない。多恵は部活にもこなくなって、私も行きにくくなった。
それはちょうど12月のことだった。