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「削除対象となる動画で一番多いのはどういった動画なんでしょうか?」
若菜の表情が笑顔からゆっくりと真顔に変わっていった。
「我々が一番使うのはやはりプライバシーを侵害するようなどうなですかね。意外とあからさまに犯罪だと分かるような動画の投稿はないんですよ。殺人とか、そう言ったものは。あってもたまに万引きしてる様子を映した物とか、ごくまれに食品に針を刺す動画とかあるぐらいですが、たいていそういう人らは本当、そこらの素人ばかりなのでその動画がもとで逮捕されたりする事を考えると怖いと感じるみたいで、ね。良くニュースでそう言った軽犯罪やコンビニの冷凍ケースにふざけて入ったりする人らの動画が放送されますが、たいてい身元を割り出されています。それが抑止効果になっているせいか閲覧数を増やしたいがためだけにそういった馬鹿な行為を投稿する人らは減少傾向にあります。基本、閲覧数が増えるのに楽しみを覚える人らですから、自ずと削除されずにいいね!をたくさん貰えるような動画を考えて投稿するようになりますから。」
中島はそこで一呼吸置いた。
「で、タチの悪いのがやはり性犯罪、リベンジポルノと言った動画です。そう言った人らは腹いせですから別に閲覧数が増えようが削除されようが構わないんです。とにかく対象者の恥ずかしい動画がネットの世界でたくさんの人に晒したいというのが目的ですから。先程言った通り、1人がダウンロードすればもう拡散は止められません。自分のしている事が犯罪だという意識も気薄。自分を振った女の恥ずかしい動画が他人の目に晒される事に快感を得て満たされる、いわゆるザマミロ程度の意識しかない。当然IPアドレスを突き止めるのは簡単です。しかし最近分かったんですが、どうやらそう言った性犯罪やリベンジポルノの動画を代行して投稿する奴がいるようなんです。そいつはやはり海外サーバーを複雑に経由していて身元を突き止める事が困難でした。おそらくそういう動画を投稿したい人らが集う裏サイトがあるんでしょう。そこでコンタクトを取り代行して投稿してる人がいる可能性が非常に高い。ちょっとそれらしき動画を観て下さい。」
中島はパソコンで動画を再生した。
動画はあるカップルが撮影したものと見られる。少しほろ酔いの20歳代前半の女性がベッドの上で撮影者である彼氏と思われる男の指示で服を脱ぎ、股を開き局部を露わにしオナニーすると言う動画であった。映っている女性に嫌がる様子はなく、むしろ楽しんでいるようであった。