狂【序章】-4
『ガススタのかわい子ちゃん』
より一層ニヤニヤとする達也に真顔で返す
『別に。昨日メールした通り。映画見るだけ』
はぁ?と思い切り顔を歪ませる達也を確認してから向き直り ニヤリと笑みを浮かべ『なわけねーだろ』と言い放つ。
ゲラゲラと笑いながら教室を出て中庭へ向かった。
『なぁ どー思うよ』
ジリジリと照らす太陽に奪われた水分を補う為にポカリを口に含む。
『なにが?』
達也は汗だくになりながら背中を焼いている。
『眼鏡っ子だよ。アイツ本当に眼鏡外して俺にリアクション求めてきやがった』
『マジで?!』
ガバッと身を起こし興味の目を向ける。
『マジだよー つか超めんどくせぇー』
あぐらをかいた足を手で掴んだまま後ろへ引っ繰り返った。
『モテモテで羨ましいこった。せいぜい刺されんなよ』
ニヤニヤとした顔が寝転んだ俺の視界を遮る。
『…その顔ヤメロ』
達也を軽く殴り教室へ戻った。
ブブブ ブブブ
風呂から上がるとテーブルの上でメール用の振動に合わせて携帯がいびつな円を描いていた。
頭を拭きながら携帯を開く。
『ショートメール?』
友達にまだメルアド教えてない奴いたっけ?
疑問に思いながら開いてみる。
知らない番号から。
『バイトお疲れさま!結構ハードなお仕事なんだね。今日は嬉しかった。』
? 何だコリャ。
間違いメール?達也の悪戯か?
ブブブ ブブブ
再び震える。
『私 ずっと好きだったのよ』
誰? 眉間に皺を寄せ考える。
委員長か?まさかな。 携番はお互いに知らないはずだ。俺に繋がる友達もいないはずだし。
ブブブ ブブブ
『お返事待ってます』
コリャ完璧人違いだ。
『宛先間違えてますよ』とだけ返し 布団に横になると俺はすぐに深い眠りに落ちた。