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狂【序章】
【サイコ その他小説】

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狂【序章】-3

『ぁ…ぁの…』

後ろからする小さな声にまた椅子でもぶつけてしまったのかと振り返る。

『あぁ ワリィ』

『…ぉはよう…』

何だか分からないが 顔を耳まで赤く染めた委員長にさっきより少し大きな声で挨拶された。

『?… おぅ』

何だかよく分からない俺はそう答えると首を傾げて前へ向き直る。

『あのっ…』

ったく何なんだ。何度も何度も。イライラするなぁ。
『何?』

眉間に皺を寄せて明らかに不快な態度で聞き返す。

『ぁ… メガ…』
『はぁ?』

間髪入れずにデカイ声で聞き返された委員長は 更に茹でダコの様に真っ赤になって俯いたっきり黙り込んでしまった。

『……?』

内心かなりムカついていたが無闇に女に怒る訳にもいかず 何となく委員長の異常な程に赤く染まった顔を見ていた。

『あ 眼鏡』

委員長の顔に何かが足りない気がして間違い探しをしていた俺は 答えを見つけて思わず口に出してしまった。

『!』

委員長はパッと顔を上げるとニコリと微笑む。

『昨日 隆士君に言われたから…ぁの…とって‥みたんだ…けど……』

もじもじと話す委員長。 …マジかよ。達也の言った通りの展開か?

『(どっちでも)いいんじゃねーの?』

フイッと前に向き直したが半日中背中に刺さる視線に耐えられなくなり席を立つ。

『隆〜ちゃん』

教室の入り口から達也がニヤニヤしながら入ってくる。

『あ』

ガタガタと隣の席から椅子を引っ張ってきてまたがる。
脱走失敗か―。

ため息をついて再び椅子に座る。

『で?』

椅子に座ると同時に達也の顔がぐいと近寄った。

『なにが』

ふてくされた様な態度で達也を見るとニヤケた顔をしながらも目だけを丸くして俺の顔を覗き込む。


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