アンジェラ-21
「それは続けるけど1時には帰れるから大丈夫よ。ヤスシは役所から帰ったら夕飯食べて直ぐ寝なさい。それで私が帰ったら起きてセックスすればいいのよ」
「なーるほど」
「日曜日は休みにするから1日中ヤスシと一緒にいられるし」
「デートも出来るかな」
「一緒に住んでいるんだからデートなんかする必要は無いの」
「そうか、間違えた。日曜は一緒に外出して買い物したり遊びに行ったり出来るかな」
「出来るよ勿論。朝から晩までヤスシの好きな所に行こう。何処に行きたいの?」
「特に何処ということは無いんだけど、アンジェラと一緒に新宿とか人混みの中を歩きたいんだ」
「どうして?」
「だってアンジェラみたいな美人と一緒に歩けば男として誇らしいだろう?」
「そうか。有り難う。それならうんとお洒落して男が皆振り返るような格好して一緒に歩いて上げる。それでヤスシの腕にぶら下がって歩いて上げるわ」
「アンジェラが腕にぶら下がったら潰れちゃうよ」
「いちゃいちゃしながら歩いて上げるっていう意味よ」
「それはいいなあ。そんなの夢みたいな話だな」
「全然夢じゃない。来週の日曜から毎週そうなるのよ」
「グハー」
「それは何?」
「たまらんなー、これは抵抗出来ないなーっていう意味」
「そうそう、それでいいの。さあ帰ろう」
「アンジェラの荷物は?」
「荷物って?」
「服とかいろいろあるだろ?」
「ああ、それは毎日仕事の前にアパートに寄って取ってくるから少しずつやるわ」
「そんなんで出来るのか? 何だったら僕が手伝うとか業者を頼んで引っ越しするとかした方がいいんじゃないの?」
「荷物なんかいくらも無いからいいのよ」
「そうお?」
アンジェラはその日から靖の家で暮らすようになったが、毎晩仕事帰りにアンジェラが持ち帰ってくる荷物はいくらも無いどころでは無かった。毎日ダンボール箱2つに一杯詰めた物を持ち帰るのだから、次の日曜までには広い部屋が一部屋殆ど荷物でいっぱいになってしまった。荷物の中身は大体服であった。そして殆どが皮やラテックスなどの服で、要するにSM風の衣装であった。
「こんな服ばかりなんだな」
「こういうのなら仕事にも使えるから」
「仕事の為に買い集めたのか」
「そうとも言えない。もともとこんな服が好きだから。それでSMクラブで働くことも思いついたのよ」
「それじゃやっぱりSなんじゃないか」
「いいえ、それは服の好みがそうだというだけ」
「コロンビアなんてアフリカみたいに暑いんだろ? こんな服買っても着れないんじゃないか?」
「そんなこと無い。高地だから寒い」
「へー、コロンビアって寒いのか」
「そうよ」
「それにしてもこの服の数は一体何だ。まるっきり芸能人だな」
「まだもうちょっとあるの」
「まだあるのか」
「明日はタンスを買いに行こう。ダンボールに入れたままだと皺になる」
「それはそうだな。このゴムの奴はこれも服なのか?」
「ああ、それはゴムのタイツ。着ると凄くセクシーよ」
「そうだろうなあ。これは?」
「ゴムのワンピース。それもセクシーよ」
「明日はこれを着てくれる?」
「いいわよ。何でも着て上げる」
「これを着る時は下着はどうするの?」
「小さいTバックを穿くのよ」
「上は?」
「ブラのこと?」
「うん」
「ブラはしない」
「そうすると・・・、明日はそれで行こう」
「何考えてるの、分かってるわよ。乳首が飛び出るって言うんでしょ?」
「飛び出ないか?」
「飛び出るわ」
「そんなんでいつも外歩いてるの?」
「これは外で着たこと無いわ。乳首が飛び出るのはかまわないんだけど、ちょっと透けてるでしょ」
「そうか? 透けてるかな」
「着ると伸びるから透けるのよ」
「なるほど、それじゃ外には着て出られないな。専ら仕事着か」
「そうでもないわ。ジャケットを羽織れば外に着て出てもいいし、ヤスシが一緒ならジャケット無しだっていい」