アンジェラ-19
「いいえ。Mの女性を同伴して来ればいいの。その上二人でショーをやればそのお客は無料にしてやってもいい。だからショーは全部本物よ。感じたフリをするMなんて1人もいないの。全部本物」
「来るかな? そんな客」
「だから初めはMの男だけ相手に営業するのよ。私が店を開けば来てくれる男はいるから。それからSM雑誌に広告出していればその内M女同伴のSも来るようになるでしょ。ああいうのはどうしても人に見せて自慢したくなるものらしいし、大体SMなんて趣味のある男女は露出したいというか、見せたがるもんなのよ。だから初めは私のお得意さんだけ相手に営業していても、その内にはそういう見せたがりがきっと来るわ」
「なるほど。その開店費用が1000万円か」
「店の保証金とか内装とかいろいろ入れて1000万円あれば十分出来ると思うの」
「そしたら、でも500万円余るんじゃないの?」
「それは2人でコロンビアに行って結婚して戻ってくるのに取ってあるの」
「へー・・・、何? 僕と?」
「決まってるでしょ。厭なの?」
「僕と結婚してくれるの?」
「そうよ」
「アンジェラが?」
「私では厭なの?」
「いや、厭じゃない。喜んで結婚する。だけどコロンビアに行くと亭主がいるんじゃないの? ヒゲ面のゴツイ男が」
「いたらコロンビアに行って結婚する訳無いでしょ」
「でもどうして日本で結婚するのじゃいけないの?」
「日本では結婚出来ないの」
「どうして?」
「不法滞在だから」
「不法滞在だと結婚出来ないの?」
「結婚は出来るかも知れないけどビザが無いから強制退去っていうことになっちゃうのよ」
「なーるほど」
「だからコロンビアに行って結婚して、それから貴方がビザを取って私を日本に呼び寄せるのよ」
「なーるほど」
「どうも頼り無いなあ。大丈夫? 私の言うこと分かる?」
「うん。分かるよ」
「私と結婚する気ある?」
「うん。大いにある」
「私のこと好き? 愛してる?」
「うん好きだよ。愛してると思う」
「どうして?」
「実を言うとね、この間アンジェラのクラブに行ってM女を買っただろ? あの後ソープランドに初めて行ったんだ。だって女は感じてたけど、いや、感じてなかったのか。感じたフリしてたけど僕は全然感じなかったから出すもの出して無いだろ? それでとにかくやりたくてソープランドに行ったんだ」
「まあ、黙ってたのね」
「だから今話してるじゃないか」
「何で今まで話さなかったの?」
「それは何と言うか・・・つまらなかったから」
「つまらなかった? セックスして来たんでしょ?」
「うん。やるにはやった」
「白いの出して来たんでしょ?」
「うん。赤や青は出ないから」
「馬鹿。出す物出してどうしてつまらなかったの?」
「それがね。全然興奮しなかったんだ」
「興奮しないのに出たの?」
「まあ、たまってたから」
「それじゃ興奮したんじゃないの」
「いや、半分固くなっただけでふにゃちんのまま漸く入れて何とか出したって感じだった。ピュッと出たんじゃなくてタラーと出た感じ」
「どうして? ブスだったの?」
「そうでも無いよ。あのM女より余程可愛い顔をしていた」
「それじゃどうして興奮しなかったの?」
「だからセックスっていうのは刺激だけじゃ無いんだよ。いくら刺激したって好きで無い人とやったら感じないんだ。セックスってそういうもんなんだよ」
「このー。人の真似して」
「いや、真似してる訳じゃないんだけど、そういうもんなんだよ。セックスって」
「だから私の言うこと分かったでしょう」
「うん」
「それじゃ私とやるセックスは感じるの?」
「うん。凄く感じる」
「それはどういうことだか分かる?」
「うん。だからやっぱり僕はアンジェラが好きなんだ」
「そうよ。やっと分かったのね」
「うん。ソープランド行って分かったよ」
「それじゃ許して上げる。でももうソープランドなんて行ったら駄目よ」
「うん。でも考えると不思議なんだ」