アンジェラ-17
「気持ち良過ぎて失神したじゃない」
「違う。あれは口と鼻を塞がれて息が出来なかったからだよ。それにアンジェラは重いから潰れそうになったんだ」
「でもオチンチンはいつもよりずっと固くなっていたよ」
「うん。苦しいっていうのは確かに性的にも感じるんだな。神経が全部あそこに集まっちゃうような感じだった」
「靖は何処に住んでいるの?」
「僕? 中野だよ」
「1人?」
「そう」
「アパート?」
「アパートじゃない。ちょっとしたマンションだよ。両親が死んだとき残してくれた遺産で買ったんだ」
「両親は亡くなったの?」
「うん」
「どうして?」
「まあ2人とも体が弱かったから」
「兄弟は?」
「妹が1人いるよ。でも結婚してるからもう全然会わないな」
「両親が住んでいた家はどうしたの?」
「借地だったからね。それだけが遺産だったんだけど僕も妹もそこに住むのは都合が悪いんでどうしようかと思っていたら、地主さんが金払うから返してくれって言うんだ。それで地主さんに立ち退き料貰って返したんだ。それを妹と半分ずつ分けてその金で今のマンションを買った」
「それは広いの?」
「3LDKだから広いよ。1人だと掃除が大変なんだけど、いずれは結婚するんだからと思って広いの買ったんだ」
「そこに1人で住んでるの?」
「しょうが無いだろ。誰も一緒に暮らそうって言ってくれる女がいないんだから」
「私が一緒に暮らして上げる」
「え?」
「私じゃイヤ?」
「そんなこと無いよ。アンジェラみたいな美人なら言うこと無いけど・・・」
「無いけど何?」
「金持ちのヒヒ爺はどうするんだよ」
「金持ちのヒヒ爺って?」
「だからさっき子供作るとか言ってたじゃないか」
「ああ、あれね。残念ながら金持ちじゃない」
「何だ、金持ちじゃないのか。そんなら何処がいいんだよ。僕だって靴を舐めろって言われればそれくらいしてやったっていいのに」
「それじゃ此処を舐めて」
「そんなのいつもやってるじゃないか」
「それでドデカイ私をギョヘーって言わせて失神させるんだよね」
「またそれか。もう勘弁してくれよ。僕だってSMクラブに行った時くらいちょっと格好いいこと言ってみたくなるんだよ」
「いいのよ。さっきは本当にギョヘーって言いそうになるくらい感じたから」
「でもあれはアンジェラが勝手に動いたんじゃないか」
「そう、相手が貴方だからね」
「どういう意味?」
「つまり好きな男だから気分が乗って体が動いた」
「そうか。その、ヒヒ爺の時は体が動かないの?」
「ヒヒ爺じゃないって言ったでしょ?」
「若い奴?」
「脳味噌が空っぽで洒落っ気が無くておっぱい咥えたら何時間でも放さない男」
「それってまるっきり僕のことみたい」
「そう、ヤスシのこと」
「僕のこと?」
「だからヤスシの子供作って国に帰ろうと思ったんだよ、この脳無し。まだ分からないの」
「え?」
「えじゃないの。さっきからヤスシのことが好きになったって言ってるんでしょう。どうして分からないの? SMクラブの外人なんか厭だから分からないフリしてるの?」
「ホヘー」
「何? それ」
「驚いたっていう表現」
「子供じゃ無いんだから漫画みたいなこと言わないでちゃんと喋りなさい」