アンジェラ-15
「女をヒイヒイ言わせたつもりがそうじゃなかったんだからお礼する気も無くなったでしょ」
「あ、まあそうだな。でも注文しちゃったんだからしょうがない、残念会だ。沢山食べてくれ」
「もうあのクラブに行ってM女なんか買ったりしては駄目よ。分かった?」
「分かってるよ。あんな黒いのなんか気持ち悪くて舐められるかい」
「大体金で女を買おうっていうのが情けないのよ。男なら自分の魅力で女をものにすればいいでしょ」
「そんなこと言ったって金が無ければ女なんて誰も相手にしてくれないじゃないか」
「ちょっとこっちに顔を出してごらん」
「何? 何か付いてる?」
「これが付いてる」
「イテー。何すんだよ」
「鼻をつまんでひねったのよ」
「そんなこと言わなくても分かってる。何でそんなことすんだよ」
「どっかに脳味噌のカスがひっついてれば今の刺激で落っこちて多少は頭が働くようになるよ」
「何言ってるんだよ」
「ホテルに行こうか」
「鼻が赤くなっただろ」
「いい男になったよ」
「折角金掛けて整形したこの美しい鼻が曲がっちゃうじゃないか」
「何が整形よ。もうちょっとありそうな嘘付きなさい」
「やっぱり分かるか?」
「整形したらそんな団子っ鼻の訳無いでしょ」
「僕の鼻って団子っ鼻か?」
「私の鼻と比べてごらん」
「そりゃあアンジェラは外人だもん。比較になんないよ。僕のはこれでも日本人としては格好いい方なんだ」
「そうですか」
「そうだよ。うちの役所には本当に前から見ても鼻の穴が見えてる奴がいる」
「そんな化け物と比較して威張るんじゃないの」
「化け物は酷いなあ。僕はそいつと結構仲がいいんだ」
「服脱いで横になりなさい」
「今日は僕が下になるの?」
「そう。これが本当のセックスだっていうのを教えて上げるから」
「え? それじゃ今まで教えてくれたのは嘘のセックスだったの?」
「今までのは実技編よ」
「じゃ今からやるのは応用編?」
「愛情編」
「愛情編?」
「もう話はいいから黙ってなさい」
「痛い。いきなり乗っかったら重いよ。アンジェラはデカイんだから」
「デカイんじゃなくてドデカイんでしょ?」
「そうだよ。イタァーい。死ぬー」
アンジェラは靖の肩口を初めとしてあちこちに噛みついた。噛みつきながら両手は靖の体を抱きしめたり痩せて薄い肉をつまんだりした。靖はギャアギャア言いながら悶えていたが、それはあちこち痛いからで気持ちよかったからでは無い。靖の体には30分もしない内に、つねったり噛んだり吸ったりした跡があちこちに付いた。声を上げ続けていたので靖の声は既に嗄れていた。体も全身汗びっしょりだったが、それはアンジェラも同じだった。
アンジェラの長い髪がアンジェラ自身の体にも靖の体にもバラバラに乱れて汗で貼り付いていた。アンジェラの濃い化粧が汗で流れて今はもう魔女のような顔になっていた。真っ赤にマニキュアした長い爪は靖の全身至る所に爪痕を付けていた。靖はもう満身創痍である。アンジェラが体を繋げた時には疲れ切っていて殆どグロッキーだったが、ちゃんと立つべきものは立っていたしセックスの気持ちよさを感じてもいた。しかしそれから始まった長いセックスはまるで拷問だった。靖が行きそうになるとあそこを強烈に締め付けて射精を妨げ、それから靖が少し落ち着くと又腰を動かすという具合だった。アンジェラが高ぶりを押さえきれずに靖にキスをしたまま激しく腰を振って行った時には、靖は半分窒息して気を失ってしまった。キスというより靖の顔全部を飲み込もうとするかのように大きく口を開けて吸い付いていたから鼻までアンジェラの口に塞がれていたのである。靖が気が付くと口の中に大きな乳房が入っていた。遠くから誰かが靖の名前を呼んでいる。