アンジェラ-14
「何で?」
「良く分かんない。貴方のこと好きになったのかな」
「僕のこと好きになった?」
「うん」
「アンジェラが?」
「いけないの?」
「いや、いけなくないけど何で? 何で僕のこと好きになったの?」
「だからそれが良く分からない」
「それ本当?」
「何が?」
「だから僕のこと好きになったって」
「うん、多分」
「ヒェー」
「何? それ」
「いや、意外な喜びの表現」
「漫画みたいな喜び方するんじゃないの」
「はい」
「本当にいい年して子供みたいなんだから」
「子供みたいに純真な気持ちを保ち続けているってことなんだよ」
「いい年して純真なんて威張るんじゃないの」
「ミイラ取りがミイラになったって奴だな」
「何? それ」
「ああ、分からないか。つまり僕にセックスのテクニックを教えている内に、その教えたテクニックに参って僕に惚れちゃったんだな」
「貴方の頭は脳味噌が入ってるの?」
「何で?」
「セックスはテクニックで感じるんじゃ無いっていうのがまだ分からないの? バイブ使っても感じたりしないんだって今教えたばかりなのに」
「だっておかしいじゃないか」
「何が?」
「だって僕のテクニックが下手だから一生懸命教えたんだろう? 僕のやり方じゃいくらやっても感じないからって言って教えたんじゃないか」
「そうよ」
「だから結局セックスはテクニックなんじゃないか」
「違うわ。好きでもテクニックが下手だと感じないけど、好きでなければテクニックがいくら上手くても感じないって言ってるの」
「好きでもテクニックが下手だと・・・・感じないけど、好きでなければテクニックがいくら上手くても・・・感じない。って言うことはアンジェラはひょっとして僕のこと好きだって言ってるんじゃないのか?」
「貴方は脳味噌が無いんだわね、やっぱり」
「だってそういうことになるじゃないか」
「そういうことって?」
「だからアンジェラは僕のことが好きだっていうこと」
「私さっきそう言わなかった?」
「え?」
「貴方のこと好きだから貴方があの女に馬鹿にされて悔しかったって言わなかった?」
「ああそうか、そうだった」
「ヒェーって喜んだのをもう忘れちゃったの?」
「そうだった、思い出した」
「そんなだからあんな女に馬鹿にされちゃうのよ。あんなの全然Mじゃ無いんだから。私と同じ金の為にフリをしてるだけなのよ」
「そうなのか?」
「そうに決まってるでしょ」
「でもアンジェラはSだと思うよ。その服装見たってそうだろ。Sじゃなきゃそんな服装しないよ」
「服装なんて関係無いの。貴方がMだから私は自然Sみたいになっちゃうのよ」
「何がMだよ。僕はSなんだって何度も言ってるのに」
「何がSよ。貴方がSなら私はSSだわ」
「シークレット・サービスか?」
「馬鹿」
「それにしてもあの女は見事に騙してくれたなあ」
「そんなこと感心するんじゃないの。何処まで人がいいのよ、全く。感じてる時の女はどうなるのかぐらい知っておきなさい」
「どうなるの?」
「後で見せて上げるから」
「ビデオかなんか?」
「馬鹿。早くそれ全部食べなさい」
「こんなに食べれる訳無いだろ」
「スープと一緒に食べるのよ。流し込めば入るでしょ」
「そんな、アンジェラにお礼するつもりで沢山頼んだんだから、アンジェラが食べてくれよ」