貧困娼年の舞台-2
「話はわかった!私がベストなコーデ選んであげる。そのかわり!この後私に付き合ってね」
そう言い放つとユーコは翠の腰回りを確かめたり、脚や腕の長さ、首回りをさくさく計測する。
「わあっ。5号でもヒップが小さいわ。こりゃ難しい」
そう言うと、山のような服を掻き分け掻き分け探索を始める。
「んー。これ。トップスインのショートパンツスタイルってなトコかな。んで、五部丈の白カットソー。君、肌が鳶色してるしい、白い服の方がそのエキゾチックな肌が映えるってトコかな。さあ、試着試着っ。そこにカーテンあるでしょっ」
翠は言われるがままに試着室で着替える。
まあ、この際パンツなんて。そもそもパンツって何の役に立つの?
着替えた翠は催促されて慌ててカーテンを開けた。
「んーっ、ま、十分及第点じゃない?君、髪の毛長いからちょっと女子っぽいけど。でも君、いい生足してるっ。その美脚を出せば色っぽさも倍増よっ!これで行こう!」
店の支払いはフェラチオ四回分だった。
この街はとても都市計画とかとは無縁らしい。
翠の天性の方向感覚がなければたちまち迷子になってしまうだろう。
コーデして貰った時の約束は「私に付き合う事」。しかしもう30分もまるでダンジョンみたいになった道を辿っている。
「あの、目的地はまだ遠いの?もう随分歩いているけど」
「ブツクサ言わないっ!とりあえず今日は君、私の奴隷だからねっ」
どうもこの少女、女王様体質らしい。
ユーコに連れられて入った建物は猛烈に趣味が悪く淫靡な建物だった。
いつの間にか夕陽は沈み、生ぬるい風が猥雑な街角にいくつもの欲望を訴える光を灯している。
宵闇の中でピンクと紫のネオンを輝かせるその建物には乳房をこれでもかと見せつける女性の裸体のパネルがいくつも並んでいる。
「The most sexy theater SAKI」
グーグル先生がいないから解らないけど、どうもこれは劇場みたいだ。それも多分、ストリップ劇場。
そんな場所に小学生の少年と少女が。入るだけでも補導される。
まるで自分の家に帰るかのように気楽に。
ユーコは翠を連れて裏口のドアから入って行く。
「あーら、ユーコ。遅かったわね」
「手間取っただけの成果はあるんだから、もうっ」
「でも、会員のお客様が来るのにもう20分ないわ」
「段取りは簡単。ママの飼っているイキのイイのを一匹用意して。この男の子がローストビーフになる。それだけなんだから。会員の変態だってつまらない踊りを見たくて高い金を払っている訳じゃないでしょうに」
中年の化粧の派手な「ママ」と呼ばれた女性は咥えていた煙草から大きな煙を吐いた。
「そりゃ、素敵ねえ。でもその男の子、大丈夫なの?暴れない?いくらなんでもノンケの男の子に「具」をやらせる訳にはいかないよ」
「じゃーん!この子は大丈夫。だって、ザキの生け贄になって「田園」で見せ物になって卑猥な事言って腰を振った正真正銘の変態だから」
「ふうん。面白いわね。面白くて、年甲斐もなくゾクゾクする。まあ、あんたじゃ間違いはないでしょうに。でも、それだけで済むのかしら」
「うふふっ。済まなかったら、私たち二人とも受けちゃうわ」
「ママ」はにやりと笑って紫煙をくゆらせる。
「若い頃を思い出すわ。でも、年端もいかない小学生の男の子なんて。それもかなりそそるわ、その美脚。ちょっとうちのイベントでは例がないわね。会員の方々にも特別料金を貰わなくちゃ。今日のギャラはかなり期待していいわよ」