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貧困娼年の舞台
【ショタ 官能小説】

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貧困娼年の舞台-1


翠がその古着屋を見つけたのはネットではなく偶然だった。

少しでもこの街の事を知るために歩き回っている時に、翠ならではの「街の嗅覚」に導かれたのかも知れない。
錆び付いたシャッターが並ぶだけの、屋根が半壊したアーケード。打ち捨てられた商店街。翠は知らなかったが、日本全国こういったうらぶれた商店街はどこの街にもあるらしい。
かつて自家用車などというものが選ばれたお金持ちしか持てなかった時代に、地域の人に密着してなり立っていた肉屋、魚屋、八百屋。それらは全て巨大な駐車場を持ち、どんなものでも安くバリエーション豊かに揃えられたアウトレット・モールに客を奪われた。

先日の秘密のショーの主役だった翠は、ちょっとした小金持ち。
とても余裕で食費を長期間まかなえる訳ではないが、翠だって少しは常識という物を身につけた。
「先行投資」などという言葉を知っている訳じゃないけれど、翠の場合、商品は翠自身。中身にはパッケージが、良い品には綺麗な包装がなければイケナイ事は知っている。

とはいえ、ブティックなど夢の彼方。デパートもアウトレット・モールも、ユニクロでさえ翠にはとんでもない高級品で、デニムひとつ買うのだって昔のことを考えれば。
これといった男性を見つけ、誘惑し、頑張って射精するまで唇と舌、喉の奥を使ってイカせるのを12回やっても買えるかどうか疑わしい。

その半壊したアーケードの店だって、外から見ただけじゃ洋服屋のなれの果てだとは推測できても、古着屋をやっているとは思えなかった。
小さく貼り出された、書き殴りの文字を見るまでは。

いくらでもお譲りします。女性ブランド品多数

翠の身体の大きさは小柄な女性とほとんど変わらない。
一概に子供服と言うのは割高で、値引きもほとんどない。翠はそれをネットで知っている。
「ひとりでお店に入る」というだけでも、翠には勇気が必要だった。

暗い蛍光灯の下にある品揃えは意外に多く、そしてほとんどジャンル分けされていない。
商品に付けられた値札は信じられない程の安値だった。「お譲りします」の言葉に嘘はない。
それこそワンコインで買える翠のフェラチオでお釣りが出るほど。
しかし、翠の服飾の知識はほぼ皆無。
30分ほどかけて出た結論は「何が何だかわからない」だった。

「無理。ボクには」そう呟いた時、幼く可憐な声が耳のすぐそばで聞こえ、翠は飛び上がる。

「わあっ。この間コーカイセックスしてたインラン少年だあっ」

ほぼ同い年か。装いは大人っぽくしているけど、その笑顔と身体の幼さはどう考えても小学生。
翠の記憶がぐるぐる回り、その女の子を特定しようともがき、すぐに結論に達する。
この子、あのカップル喫茶で大人と淫行をしていた少女だ。
幼い乳房を大人に舐めさせ微笑んでいた、お洒落なショートカットの女の子。

「うん。そうだねっ。この間も今も凄っごいみすぼらしいもんね。探偵・ユーコは少年が服のコーデが出来ずに途方に暮れていると見た!」

そんな力こぶを作って断定ポーズはやめて。
まったくその通りなんだけど。

「う、うん。ボク、服を買ったことも、買って貰った事も、ないから」

自分で言っていて自分で恥ずかしくなる。
翠が物心ついてからこの方、服は全部母さんがどこかから持ってきたわけのわからない物ばかり。「ファッション」どころかサイズだって合った試しがない。
それに比べてこの「ユーコ」という少女は肌の露出が高いことを除けば、普通にファッション雑誌に載ってもおかしくないぐらいにファッショナブルだった。
そもそも、前の街でもこんどの街でも見たことがない大胆で個性的なかたちのシャツ(カットソーと言うらしい)に派手ではないのに少女特有の柔らかい美脚のラインが色っぽいスカートを履いている。


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