貧困娼年の放蕩-4
甘かったと悟るまでに時間はかからなかった。
その店に入ってすぐ耳に入ってきたのは、BGMならぬ喘ぎ声、唸り声。
狭い店内のボックス席には男女の取り合わせが4組。そしてドリンクを手にした男が三人立ったままそれらを鑑賞している。
そのボックス席のどれもが、痴態を晒していた。
金髪で裸みたいに挑発的な姿の女は男の怒張を啜り、自らの股間に手を伸ばしてる。
M字開脚した、どう見ても高校生の女子が中年男に陰部を舐められている。
30代とおぼしきカップルはすでに対面座位で本番の真っ最中。
極めつけは翠とそう変わらない歳のショートカットの女子が半裸になって膨らみかけた乳房を吸われている。
ここ、「カップル喫茶」だ。
自分たちのセックスを晒け出し、人に見られることに快感を感じる歪んだ人達の集まる場所。
椅子も、スターバックスみたいな簡素なものじゃなく、そのままセックス出来る程にゆったりとしたソファ。
それもそれぞれのボックス席にはまるでステージのようなダウンライトが輝いている。
「ん。空いていて良かった。座ろうか」
とまどうボクの腕をとり、空いているボックス席に座る。しかも、向かいではなく隣に。
「どうでもいいんだが、何を飲むかね?カルピスだってあるけど、君はもっと熱いミルクが好みなんだろう?それは大丈夫。たっぷりあげるから。そうそう、君の名前を聞いていなかったな。僕は「ザキ」って呼ばれている。And You ?」
「あ、あ、I’m honored to meet you で、ですっ。えっと、My name is Midori 」
ノートン先生も素晴らしいが、グーグルも素晴らしい。
「は、は、はっ!うん。頭のよい子は好きだよ。大好きだ」
「ザキ」さんはボクの耳をくすぐるぐらい唇を近づけて囁く。すっごく感じる。忘れかけていた悦楽がボクのカラダを熱くする。
ああ。ボクはボクのカラダを売るだけじゃなくて。
男を欲しがる変態になっちゃたの?
頭の中をいままでの忌まわしい経験が渦を巻く。どれだけボクが淫乱だったか。どれだけボクがイケナイ子供だったのか。
ボク、熱くて硬いオチンチン、大好きだったんだ。
「で、でもっ。ボク、お金が欲しいんです。あの、賤しいけど、ホントだから」
ザキは面白そうに笑い、かぶっていた中折れ帽子をテーブルの前に置いた。
そして両腕を拡げ、朗々とした美声で演説を始めた。
「東西東西!ここにお金に困った淫乱なショタが、欲望を満たそうとやって来た。「いいね」と思ったらこの帽子におひねりを入れたまえ。どう?君はエッチな本性を剥き出しにして快楽が得られる。もちろん僕も気持ち良く君の中に射精出来る。そのお金は全部君の物だ。観覧してくれた人はレアな光景を目撃できる。全員一両得ってわけだ。はっはっはっ!」
この明るさ、なんとかならない?