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疼きに喰い込む赤い縄
【その他 官能小説】

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これが私の-1

 「ふう…」
 急に静かになった。うなりをあげて私を責め立てていたマシンが三つとも沈黙したから。
 「お前が言いたいのはつまりこういうことだろ。」
 自分の着ているものを全て脱いだ伊巻が私の背後からベッドに上がってきた。
 「ええ、そうよ。くっ…」
 彼は私の髪を掴んで自分に引き寄せ、睨んだ。
 そして顔を寄せて囁いた。
 「…バカ、そのぐらいにしておけ。」 
 私は囁き返した。
 「…そうはいかないんです。」
 伊巻は呆れたような顔をして私を放し、後ろに回り込んだ。
 そして私の谷底に狙いを定めて自分を当てがった。
 私は天井に向かって叫んだ。
 「聞きなさい、浜浦幸雄!今から私はこの人を受け入れる。あなたは私に捨てられるの。」
 天井は沈黙している。
 「いい?寝取られるんじゃない。だって私はあなたを裏切るんじゃなく、捨てるんだから。」
 「おいおい、それがつまり寝取りじゃないか。」
 「残念でした。夫や恋人に罪悪感を抱きつつ裏切ってしまうのが寝取りなんでしょ?私、幸雄になんの罪悪感も無いもの。こんなことを仕掛けるバカにもう用はない。そして伊巻博也。」
 「お、おう。」
 「入れればいい。それをそこに。たぶん二人とも気持ちいい。でも、私はあなたを愛さない。」
 「なんだそれは。」
 「分からない?私は幸雄をもう夫とは認めないし、あなたに体も心も支配されない。つまり。」
 ふう、っと一つ深呼吸した。
 「…あなたたちの寝取りは失敗よ。」
 時が止まったかのように、全ての空気が静止した。
 その静寂の中からフーっと浮かび上がるように私の声が。
 「さあ、楽しみましょう。」
 お尻を突き出した。伊巻の先端が、私のその動きで少しだけ入った。
 「どうしたの?さあ、入れなさいよ。」
 「杉本…」
 「入れ方忘れたの?教えてあげようか、先輩。」
 彼の方を振り返った。
 「手が震えてますよ。そんなんじゃうまくボタンを外せませんね。自分で脱ぎましょうか?」
 伊巻が私の腰を掴んだ。掌にジットリと汗をかいている。
 「もういい。もう…いい。」
 手に力がこもり、背後から彼がズブズブと侵入してきた。
 「あぁ…」
 あれだけ機械に痛めつけられた直後だというのに、私は彼のそれに十分な存在感を感じ、熱さを感じた。
 「ああ、気持ちいい…これが、本来の、本当の女の悦び。見なさい、幸雄。あなたが寝取らせたかった女はもうあなたのものじゃない。あなたと無関係に、この男に入れられて感じているの。」
 私は左右に腰を振り、先輩は前後に突いて来た。
 「愛してくれてるのよね?残念でした。つまらないことをしたせいで、あなたは私を本当に失った。罪悪感ゼロ。だから。」
 腰の振りを大きくした。伊巻先輩がそれに応じて動きを強めた。
 「ああ、気持ちいい…。あなたが愛した女は他の男に後ろから貫かれて悦んでいるの。さあ、見なさい。しっかり見なさい。」
 ズパン、ズパン、ズパン…。
 先輩が私の奥深くに入ってくる度に二人の腰とお尻がぶつかり合って、大きな音を立て始めた。
 ズパッ、ズパッ、ズパッ、ズパッ、ズパッ!
 二人の動きは加速されていく。
 「これが、ああ、これが…」
 ズパズパズパズパズパ…。
 「裏切られた男の、裏切らされた女の…」
 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
 「そして、私のーーーっ!」
 振り返った。伊巻先輩と目が合った。
 「あふぅ…」
 ガクガクガク、っと私の体が痙攣を起こし、グイっと反り返った。
 全身に溜まりに溜まって凝縮されきった快感が、濁流となって一気に全身に駆け巡り、私はまどろむような痺れに包まれて…。
 「復讐…」
 果てた。


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