第二のメッセージ-4
「ここに来たら何をされるのか分かってたよな。」
「…。」
「分かってて来たということは…」
「やめて…。」
「されたいということだ、また俺に。」
「…やめて下さいってば、先輩。」
「さて、今日は何からしようか。電マか?縄を喰い込ませて吊るしてやろうか?それとも、いきなりコイツを捻じ込むのはどうだ。」
「やめて!そんなこと、言わないで…。」
「ほう、じゃあ何しに来たんだ。お茶を飲みにか?」
「それは…」
「ガマン出来るのか?このまま何もしないで帰れるのか、お前。」
本当は分かっている、自分でも。口ではやめてと言いながら、既に下腹部の奥で燃え広がり始めている疼きを抑えることなんか出来ないということを。
ああ、なぜ私たちは再会してしまったんだろう。なぜ私たちは…こんな形でしか再会出来なかったんだろう。
一生会わずにいられたのならば。伊巻先輩は、初めての男としてほろ苦い想いと共に私の中で生き続けていたかもしれないのに。
でも、もう遅い。私たちは出会ってしまったのだから。十年の時を越え、あの頃の無邪気な二人とは違う男女として。
フカフカのソファーで隣に座っている先輩の手が私の胸元に伸び、ブラウスのボタンを外し始めた。一つ、また一つと。
私は抵抗しなかった。このあと彼にされる事を想像すると、重苦しい欲情が体の内側から湧き上がり、拒むことなど出来なかった。
はぁ…、はぁ…。
いつの間にか、私の半開きの口から荒い呼吸音が発せられていた。それは壁や天井に反射し、部屋の中をねっとりと濃密な空気で満たし始めていた。
私は快楽の予感に息を荒げ、体の奥でくすぶる疼きに支配されて、されるままに脱がされていく。
そんな私をじっと見つめている先輩は、勝ち誇るでも嘲るでもなく、ただ淡々と私の火照った素肌を彼の目に晒していった。
「お前の胸、ずいぶん熟したな。あの頃はあの頃でなかなかそそられたものだが。」
「何を…」
剥き出しの胸に、掌が這い回る。
「しっとりと掌に吸い付いてくるようだ。少し汗をかいているのはどうしてかな。」
「やめて…」
「先端もコリっと固くて…」
「やめて…下さい…。」
口先だけの拒否をする気力も尽きようとしている。
先輩は、彼の手の動きに敏感に反応する私を観察しながら、熱くなった乳房を執拗に撫で回し、乳首をつまんでしごいた。
「旦那さん、しっかり可愛がってくれてるようだな。よく開発されている。」
先輩の言う通りだ。夫が私に、男に体を委ねる悦びを教えてくれた。
でも。
皮肉なことに、それを知るが故に火がついてしまった疼きが、先輩の誘いを拒む理性を弱らせ、あの夜、夫を裏切らせた。もしもまだ女の快楽を知らないままだったなら、どんなに誘われても応じなかったかもしれないのに。
そして今日もまた。
「いけません、こんなこと…」
夫に対する最後の罪悪感が、ようやく私にそう言わせた。
そして、抑えられない荒い息と、微かな衣擦れの音だけが部屋の中に響き続けた。