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良助
【青春 恋愛小説】

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2 順子-19

 「もしもし、私」
 「ああ、待ってた。もう1回おめでとう」
 「有り難う。もう落ちてもいいとは思ってたんだけど、やっぱり第1希望だから嬉しい」
 「そうだろうな。僕お祝いをプレゼントしようと思って用意してあるんだ」
 「まあ、何?」
 「うん、高く無い奴だけど18金のネックレス」
 「まあ素敵。高く無いって言ったって高いでしょ?」
 「姉さんに合格祝いで金貰ったから」
 「あ、そうか。それじゃ私も何か小山君にプレゼントしないとね」
 「僕はいいよ。そんなにして貰う程の大学じゃ無いんだ。誰に言ってもそんな大学聞いたこと無いなあって言われちゃんだから」
 「それだって大学は大学よ。立派なもんよ。私ね、2人揃って大学生になれたことが何より嬉しいの」
 「うーん。本当だな」
 「これから早速うちに来ない?」
 「でも今日はうちの人と合格祝いをするだろう?」
 「いいよ。小山君が一緒なら余計楽しいもん」
 「でも一家で水入らずの所に僕が入るのは良くないから」
 「何で? 小山君も段々世間の常識を身につけて来たのね。それって嬉しい感じもするし寂しい感じもするわ」
 「何で?」
 「だって小山君がどんどん成長して行って追いつけなくなりそうな気がするんだもの」
 「何言ってるのかな。僕は田宮に追いつく為にどんどん成長しているんだ。田宮の方が僕より遙か先を進んでいるんだよ」
 「そうか。小山君が成長するのを寂しいなんて言ってはいけないわね。2人で成長していかないと」
 「うん。お父さんも言ってただろう? 異性との交友を通じて成長して行くのは理想だって」
 「そうだったわね。お互いにいい影響を与え合って行きたいわね」
 「うん。だから僕はいずれ日を改めて行くよ」
 「うん、日を改めてなんて言わないで明日にしよう」
 「いいよ。僕は明日入学手続きに行くから、終わったら電話する」
 「ね? 小山君の通う大学見てみたいから一緒に行ってもいいかしら」
 「いいよ。入学金持っていくから姉さんが一緒に行くことになってるけど構わないだろ?」
 「うん、お姉さんにも又会いたいな」
 「それじゃ丁度いいから来ればいい」
 「行ってもいいかしら?」
 「勿論だよ」
 「私お姉さんと会うの楽しみ」
 「そしたらこっちを出るのが大体9時頃の予定なんだけど、出る時に電話するからホームで待っていてくれるかな。それならそのまま降りずに行けるだろ」
 「そうね。行き違いにならないかしら」
 「大丈夫だよ。いなければ降りてホームで待ってるから」
 「あ、そうか。分かったわ」

 翌日、ジーンズにコートをはおった姉と良介は出かけた。大学は三鷹だから良介の家から行くと順子のいる荻窪を通っていくので、電車の真ん中へんに乗った。スピードを落としていく電車の窓からホームを探したら、順子の方から既に良介達を見つけていて小走りに駆けてきた。見慣れたセーラー服姿が何故か新鮮に見えて改めて順子のことを好きだと思った。セーラー服のリボンが揺れて派手な顔立ちの美人顔をくしゃくしゃにして笑っている。笑顔で駆けてきて電車に飛び乗った。良介はポケットの中でネックレスの入った箱を握りしめていた。やっぱり指輪にすれば良かったかなと思いながら、いややはり指輪はまだ早い。2人でもっと成長してからでいいんだと思い直した。順子はもう姉さんと古くからの友達のように親しげに話している。その楽しそうな横顔を見ながら良介はこれから始まる大学生活を様々に思い描いていた。2人はこの先どうなるか分からないが、その時その時を大事にしながら付き合って行こうと思った


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