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良助
【青春 恋愛小説】

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2 順子-18

 「良かったな。とうとう引っかかったな」
 「うん。聞いたこと無い大学だけど校舎はデカクて新しいんだ」
 「良介もいよいよ大学生になるんだな」
 「粕谷は一足飛びに社会人じゃないか」
 「うん。俺は試験が無いから楽だけど良介は大変だったな」
 「うん。もう人生2度とこんなに頑張ることなんて出来ないよ」
 「それで社会福祉学科って何やるんだ?」
 「さあ? 何やんだろ」
 「大学でも水泳やる?」
 「もうやらない」
 「どうして?」
 「大学でやる程のレベルじゃ無いもん」
 「それもそうだな。それはそうと、田宮はどうなった?」
 「3カ所受けて2カ所はもう受かってる。あとの残りが第1希望の国立なんだけど、これはまだ発表になってない」
 「まさかプロを目指してるんじゃ無いだろうな」
 「さあ、どうだろう」
 「聞いて無いの?」
 「プロになりたいけど体が小さいから無理だろうって言ってた」
 「体が小さいと駄目なのか?」
 「そうらしい」
 「何で? お相撲さんじゃなくてプロ歌手になるんだろ?」
 「プロ歌手にも新弟子検査みたいなもんがあるのかな」
 「まさか」
 「でもプロは体が大きくないと駄目だからって言ってた」
 「それじゃなれたらなるつもりなんだな」
 「そうかも知れない」
 「室野は国立が落ちたら外国の学校に行くらしいな」
 「あいつは金があるから」
 「田宮だって金があるだろ」
 「うん。銀行の頭取だからな」
 「そんなのと結婚したら大変だぞ」
 「どうして?」
 「中小企業じゃないから親父が頭取だって出世なんかしないぜ」
 「そうか。僕は銀行員て柄じゃないしな」
 「そうだな。ところで大学にも女はいるのか?」
 「半分女だな。それに看護科というのもあるから大学全体だと女の方が多いかも知れない」
 「良介はどこまで行っても女に囲まれるんだな」
 「うん。世の中の半分は女だから男女半々の所が1番いいんだ」
 「可愛い子も沢山いるだろうな」
 「生け花教室だって女ばっかりじゃないか」
 「それは仕事だから違うの」
 「アメリカに行けば外人と知り合えるじゃないか」
 「芳恵が一緒について行くの」
 「何だか可哀想だな」
 「可哀想なんてもんじゃないよ。やっぱり受験を経験しないで済んだ分だけ楽しみも少ないっていう訳なんだな」
 「そうかあ。僕は受験で苦労した分これから楽しみが待っているんだ」
 「まあ精々楽しんでくれや」

 良介は合格祝いに母から札入れを貰い、姉からはその中に入れるものを貰った。5万円だった。モデルのアルバイトをしているから結構金を持っているのだ。良介はこれで順子に何か合格祝いを買ってやろうと思い、何がいいか頭を悩ましていた。自分自身これと言って欲しい物は無いし、まして女が欲しがる物など分からないのだ。それで悩んだ末に、指輪だとちょっと何かを期待したり暗示したりするような感じで不適当と思い、ネックレスを贈ることにした。第1希望の大学の結果が分かってから渡すつもりで順子からの知らせを待っていたら、発表会場の直ぐ近くから電話しているのだと言って、合格した旨知らせて来た。

 「まだ私お母さんにも知らせて無いの。この電話後ろに大勢並んでいるからお母さんには家の近くまで行ってから電話しようと思う。取りあえず小山君に知らせたくて」
 「うん。良かったな。本当におめでとう。帰ったらもう1回電話くれないか」
 「うん。分かった。それじゃ切るね」



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