の-3
「恥ずかしいから見んなよ」
そう言った俺の腕を無理やりはがして由布子さんは顔をあげた。
「うん。いい顔してる」
やっぱり赤くなったその顔で
俺をじっと見つめて、くすくす笑う由布子さんがいて
俺の腕の中で背伸びをして、由布子さんからそっとキスをしてくれた。
「――っ!」
言葉も出ないその行動に
由布子さんはギュッと俺を抱きしめる。
I'm high on life.
人生に酔ってるんだ―――
まさに人生に酔ったような感覚で
その原因の女性を俺もギュッと抱きしめた。
「好きだよ」
何も考えずに口から洩れたその言葉に
由布子さんはそっとうなづく。
大好きだよ。
大好きだよ。由布子さん。
どんな罪悪感さえも受け入れるよ。
どんな執着心も隠すことなく貴女を捕まえておきたい。
自分をどんなに嫌いになってもいい。
由布子さんさえ隣に居てくれるなら。
俺はこの酔いが醒めない事をただただ―――祈っていた。