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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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持つべきものは-4

「よいしょっと!」
「……。」

突然のその人の登場に私は開いた口が塞がらず、体も固まり。

その人は遠慮なく私と彼女のテーブルに座り出して。

「何よ、何か用?…あたる。」
「いや、別に…用って訳じゃ、ただお前らがあまりに湿気た面してるもんだから気になってだな。」

余計なお世話だよ…。

「るっさいわねぇー!アンタには関係ないでしょ!」

相変わらず容赦ない強気な姿勢の巴ちゃん。

「なんだお前食わねーのか?なら俺が貰うぞ。」
「ちょ!」

食欲もない彼女を見かねて巴ちゃんの代わりに彼女のドーナツを食べる彼。

「すいませーん!お冷くださーい!」

彼を睨む彼女、しかしそれにお構いなく店員に声をかける佐伯君。

「…ったく!本当に何しに来たのよ!こっちは今アンタ何かと構っている気分じゃないんだけど。」

ただでさえ落ち込んでる巴ちゃん、そこに彼がヒョイと軽い気分でこの場所に居座られ余計に気分が悪くなったようで。

「はい、どーも♪」

店員から水を受け取り、軽く口にし、そしてゆっくりとテーブルに置き。

「…まぁ何しに来たって問われたら…そうだな、強いて言えば、アドバイス?をしにきたのかなぁー。」

え?

「はっ!?」

アドバイスって…。

「…ふざけないで、一体何のアドバイスだって言うのよ、アドバイスされんのはむしろアンタの方じゃないの?」

先ほどから棘のようにとげとげしい口調で。

「きっついなぁー、相変わらず。」
「あはは。」

彼女と違って自分で言うのもなんだが穏やかな私は彼の突然の登場にそんなにイライラもしない。

「はぁー。いこっ!若葉!バカと会話すると余計に気分が落ち込む。」

バカって…。

彼から逃げるように席を立ち、私を連れて店を後にしようとする。

「いいのか!?蓮との事、このままで。」
「っ!」

慌てて店を出ようとする彼女の背中に問いかける佐伯君。

一条君の名を聞き、それまで急いでた足がピタッと止まり。

「……どういう事?」
「……。」

さっきまでおちゃらけてた彼が今度は真剣な表情を浮かべ私たちをじっと見つめる。

佐伯君?



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