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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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持つべきものは-5

「ふぅーーん…知っちゃったんだ、私やこの子が抱えてる問題の事を。」

帰ろうと思ってたけど再度入店し、改めて席に着く私たち。

どうやら昼間私たちが元気ないのを見かけて、一条君や風馬君に声を掛けたそうで、そこで事の一部始終を打ち明けたそうで。

本来ならそのまま公園に行くなり、馴染みのラーメン店で語る予定だったそうだが二人とも部活やバイトがあったそうで。

「あらぁー…って思ってたけど偶然ここを通りかかったらお前らが居てさ。」

偶然、ねぇー。

「そっ!…んで?それを知ってどうだって言うの?笑いに来たの?それとも友人として説教でもしようっての?」
「いや、だから最初に言っただろ、アドバイスだって。」
「だからそれが余計なお世話だってーのっ!」
「じゃーどうすんだよ、アイツ…蓮との事は。」
「それはー。」
「…茜ちゃんも、どうしてあんな急に怒り出したんだろ、私と風馬君が自分を傷つけた騙したって…。」
「若葉!」

正直私は佐伯君の意見には賛成だ、なにせ一日中悩んで考えたけどまるで答えが浮かばなかった訳だし。

「どう思う?私には分かりそうで分からなくて…。」
「……。」

煙たがってる彼を自分とは違って頼ろうとする私にバツ悪そうに口数を減らす彼女。

「彼女は、きっとその人は戦ってたんじゃないかな。」
「?戦ってた?…誰と。」
「勿論自分自身だよ、その人は風馬の事が好きなんだろ?」
「…うん。」
「けどだからと言って交際何て無理だよな。」
「勿論だよ、だって彼には。」
「あぁ、君という恋人が居る、だから諦めた…いや諦めてくれたんだ、尊敬する先輩でもある君の為にね。」
「…私もそこは何となく分かってた、てっきり前みたいな事になるんでないかって冷や冷やしたけれど。」

あの子との騒動は今でも忘れない。そしてあの子と茜ちゃん、あまりにも状況が似過ぎていていつも彼女と重なって見えてしまう。

「それで?柊さんはそれで納得したのか、あぁーこれで問題は解決したって。」
「うん、そりゃ最初は我慢してたんじゃないかって思った時もあったけど、彼女の様子を見る限り、そんな様子もなくて。」
「だから、本当にスッパリ諦めてくれたと、そう考えたんだな。」
「なるほど、そういう事か…。」
「え…。」

横でずっと口を挟まずにいた巴ちゃんもぼそっと納得しだす。

「ど、どういう事?」
「…だからさ、その茜ちゃんって子はまだ小鳥遊君の事を完全に諦める事が出来なかったって訳。」
「え、でも…。」
「悟られたくなかったんだよ、もしまだ未練があるって気づかれたらアンタを困らせるとそう思ったんだよ。」

嘘、全然気づかなかった…。

「まぁ、気づかないのはある意味柊さんにとっては、そしてその人にとってもそれが一番良かったんだろうね。」
「……。」
「けど、アンタはそんな事を考えてくれているとはつゆ知らず、あろうことか今までずっと忘れたがっていた人物を会わせようとして。」

っ!!

稲妻が脳裏を横切るようにあまりにもショックだった。

私ったらそんな事にも気づかないで。

絡まっていた糸がようやく一本線に繋がった…、そんな感情だ。

「じゃー…じゃー私が、私があんな事したせいで、私の…。」

目から鱗、そして目から深い罪悪感と言う名の涙が零れ落ち。

また、だ…。また…また私の、私の無知な行動のせいで…。

一人を警察沙汰になるまで追い詰め、再び似たような人が私の前に現れて今度こそ間違えない、そうしっかりと反省したつもりだったのに、結果引き籠りにさせて、大好きだった部活も、やりがいのあるバイトも休ませる羽目となって。

「うっ…ううっ!…な、に…してんのよ、私っ!…全然、反省…して、な。」

一条君曰く、死にたい…。風馬君宛てに遺書を書いて、ドーナツに青酸カリの毒を盛って中毒死したい。

「若葉…。」
「……勿論、君に悪意はない。ただお互い良かれと思った行動が結果裏目に出ただけだ自分を責める必要何てどこにもない。」
「でもっ!でもっ!私が…彼女の気持ちに気づいていれば、あんな…。」
「柊、さん…。」

こんな所で泣くなんて…。

「はいストップ!過ぎた事を今更メソメソ泣いたってなんもなんないっしょ!」
「巴ちゃん…。」
「そうだ、少なくともその人ならばまだ間に合う筈だから。」
「茜、ちゃん…。」

あれから彼女とはまるで顔も合わせていないけど。

「若葉…。」
「!」
「落ち着いたらで良いからさ、後で連絡したら、メールでも電話でも。」
「巴ちゃん…。」
「大丈夫、話で聞く限りとってもいい子そうじゃない、面と向き合って話せば絶対に分かってくれるって。」

茜ちゃん…。

「…そういう巴こそ大丈夫か?」
「はい?」
「問題を抱え込んでるのは柊さんだけじゃないだろ。」
「そりゃー、まぁー。」



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