持つべきものは-2
「はぁーーー。」
「………。」
周りの連中は皆楽しそうにしているのに対し、柊さん達の周りだけまるで異世界の空間となっているみたいで、出口のない広い暗闇に包まれているようで。
蓮も柊さんも巴も風馬も生気を失った人形のように廃人と化しており、時より何かを呟いており。
「はぁー、ぼかぁ駄目な男だぁー。」
「ううっ、茜ちゃん…本当にどうしたって言うのよ…。」
「……。」
折角の休み時間だし体育館にでも行って一緒にバスケでもしようと誘いに来た筈が。
「私…どうしたら。」
「嫌らしい人って…。」
おいおいおいっ!一体どうしたって言うんだ、何かあったのか、いや絶対にそうだ。
この予想外の光景に皆に声を掛けるでもなく、どうしていいか分からずただひたすら扉の前で呆然として。
「そんな所に突っ立ってると迷惑ですよ。」
「っ!…あぁ、そうだな。」
背後から見知らぬ髪の長い女子に注意された。
「……。」
「?」
その女子は心なしか柊さんをジッと見つめているような。
「私は、どうしたら。」
「あの…。」
思わず声を掛けるもハッと我に返りサッと立ち去って行った。
何だ?
……。
やっぱり、何かあったんだな。
「はぁー。」
「授業、出たくないなぁー。」
ったく、仕方ねぇーなぁー!
俺は友人として重い腰を上げる決意をした。