投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

恋のMEMORYの最初へ 恋のMEMORY 494 恋のMEMORY 496 恋のMEMORYの最後へ

信頼-8

「茜ちゃん!茜ちゃん!」

翌日、あまりにショックな私は学校もバイトも全て休んでしまった。

昨日の事が気になった柊先輩と小鳥遊先輩が態々人の家にやってきて、私の部屋の扉を何度も何度も叩く。

「本当にどうしちゃったの!?貴女があんなに怒るだ何て、…やっぱりお店で何かあったんでしょ!ねぇ!」

この期に及んでまだそんな事を。

「何ですか!ホントは分かってるくせに、白々しい!」
「え…。」
「何で!?どうして私に彼と同じのバイトを紹介したんです!?」
「なぜってそれは…。」
「私が、彼の事好きなのは知ってるでしょう!?」
「うん、知ってるよだから。」
「ほらっやっぱり!」
「へ?」
「貴女は私の事をバカにしてたんだ。」
「してないよ!なんでそんな。」
「いいえ!絶対にそう!私がまだ彼に対して好意を抱いているのを知っててあぁやってわざとあんなバイト先を勧めた。そして大好きだけど決して恋人にはなれない事を知っててどんな風に傷つくか試してたんでしょ!」
「っ!ちっ、違うよ!だってあの時貴女はもう大丈夫だって…そう言ったから。」
「っ!」

そうだ。こうなったのは私にあるんだ。

もし彼を紹介した時、すっぱりと縁を切ってなかったら柊先輩が困ると思ってそれで彼への恋心をグッと抑えて、なるべくは考えないようにしていたのだ。

…となると私のこの行動は何?

折角努力して先輩たちにを困らせないように出来たのに、柊先輩が彼と一緒にさせたのだってもう大丈夫、この子なら人の彼氏を奪ったりしない、そう信頼されてるから、だからきっとその事実を理解した上でただの先輩の彼氏として接してくれる…、そう思ってくれたのに。

二人に腹を立て、許せないと思ったけどそれは大きな間違いだった。一番に腹が立ち許せないのは他でもない私自身じゃないか!

柊先輩を困らせまいと努力しそして得た信頼からこの彼と会わせてくれた。もし私が彼に未だ未練があったらこんな真似絶対にしないだろう。

負けたんだ私は…、自分自身に…。

それを大好きな彼を紹介してくれた嬉しさあまりに舞い上がり、肝心な事実を忘れて、それで彼に先輩の方が大事と言われ、柊先輩も来てその二人でイチャイチャするものだから急にヤキモチ焼きだして、悪いほう悪いほうにと考えを巡らせ、あろう事か二人して共謀して私を騙して傷つけて楽しんでる…だ何てとんでもない想像を膨らませてしまい。

ってこんな反省今はいいんだ、それより先輩に。

我に返り立ち上がり、ガッチリと閉めた扉の鍵を開け、ドアノフに手をかけようとすると

「…私たち、今日の所はもう帰るね。」
「あっ、ちょっ!」
「よく分からないけどごめんなさい、でもよく分かったわ。貴女は私たちの事嫌いになったのね、ゴメンね何か酷いことしたみたいで。」
「ちがっ!」
「バイトもなるべくシフトを変えて顔を合わせないようにするよ。」

違う、違うのっ!

私の想いとは裏腹に悲しそうに大きな誤解をして去って行く二人。

やめて、行かないで…お願い!

けれども何故かドアを開けて走って二人の元に行く勇気もなく。

「うっうう…。」

部活、休まないと…。バイトも彼が態々シフトを変える必要もない。

私の祈りとは裏腹に階段を降りる音を耳にし、母に気力のない声で挨拶をする小さい声だけが耳に焼き付く。

次回、76話に続く。



恋のMEMORYの最初へ 恋のMEMORY 494 恋のMEMORY 496 恋のMEMORYの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前