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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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信頼-7

そして再び閉店間近の時間。客足も耐え、彼と店のお掃除だ。

「うーん、やっぱきれいな店は良いね、やっぱ食べ物を扱ってるから。」
「うふふ、先輩って綺麗好きでもあるんですね。」
「いや、そんな事はないけど。」
「じゃー何事もきちっとしてるんですね、やっぱ凄いなぁー。」
「そんな持ち上げないでよー、僕何かどーせ泣き虫で非力な臆病者なんだから。」
「そーんな事ないですよー!先輩は立派です!優しくて頼りがいがあってそれにとっても純粋で可愛らしくて。」
「最後は可愛いか、まぁ若葉ちゃんもよく言うかな。」
「ねぇ先輩!」
「何だい?」
「先輩からしたら私はどうです?」

予想外の私の質問にきょとんとする彼。

「どうってそりゃー良い人だなぁーって、仕事だってよくやってくれるし。」
「他には?」
「う、うーん…器用かなー…。」

どうも弱腰だなぁー、私はそんな彼にさらにグイグイと質問攻めにする。

「私の事、正直どう思ってます?」
「どうって……。」

ここにきて私はようやく自分がバカな質問をした事に後々気づく事に。

「若葉ちゃんの良い後輩だよ。」

え…

「若葉ちゃん言ってたよ、とても可愛らしい後輩が出来たって。」
「え、でもそれは。」
「ありがとね、彼女と仲良くしてくれて。」
「わ、私とは…。」
「でもまさか本当に来るとはって少しは思ったけど。」
「あ、あのっ!」
「ん?何だい。」

悪びれる様子もなく普通に会話をしてるし。

「私の事、好きには。」
「…え?」

流れ出す嫌な空気、人が居なくて良かった。

私は彼を好きでいるあまりに突拍子もない質問を…。

「いや、好きと言えばそうだよ、でもそれは悪魔で恋人の友人としてで。」
「……僕にとっても大事な人って、それで一緒に帰ってくれたのは。」

ここで私はようやく我に返り、その意味を痛感した。

それは文字通り自分の恋人を良くしてくれる大事な人、と言う意味であり。

決して私に対しては…。

あれ

何だこの気持ちは

悔しい、腹立たしい、悲しい、バカみたい、なにこれ?

「あっ、風馬君!」
「っ!若葉ちゃん!迎えに来てくれたの!?」
「勿論だよー、まぁ君は態々迎えに来なくていいとは言ったけど近くを寄ったから。」
「そっかー。」

この空気を破るように入り口から押しかけて来た柊先輩。

彼女が来た途端先ほどとは見たこともないような幸せな顔を先輩に向ける彼。

……何なの。

マグマのように言いようのない感情がぐつぐつと煮えくりかえり。

二人は、私の事を。

「…あっ、茜ちゃん今日もお疲れ様。」
「……。」
「どうだった?お仕事の方は?」

何も知らないで気安くあれこれ聞かないで…。

頑なに口を閉じて。

「…彼女、よくやってくれてるよ、今日だって僕の事起こしに。」
「まぁーそうなの、茜ちゃん。」
「……。」
「そう、だよね?あれは。」
「…どうしたのよ、疲れちゃった?そうだよね、初めてのバイトでこんな。」

私の肩を触ろうとする彼女の手を思い切り弾き。

「っ!茜ちゃん!?」
「………ぃてい…。」
「え?」
「酷いですよっ!!二人ともっ!」
「っ!」

今までで発した事もないくらい大声でそんなムカつく二人に罵声を浴びさせてやった。

「なっ、何!?どうしたの茜ちゃん、急に。」
「とぼけてるんですかっ!楽しいですかっ!?そうやって人を見下ろして!」
「み、見下ろすって私は何も。」
「そうだよ落ち着きなよ。」
「小鳥遊先輩も何考えてるんですっ!」
「えっ。」
「私の事、散々優しくしておいてこんな真似して、最低です!人の心を弄んでなぁーにが大事な人です!?なにが助かったって!?こんな嫌らしい人だ何て知ってたらあの時傘の中に何か入らなきゃ良かった!」
「一体何を。」

マグマが噴火するが如く私は店内にも関わらず大声を出しまくり。

「なに騒いでんだ?まだ営業中だぞ?」
「店長…。」

騒ぎを聞きつけた店長が私たちの元へ向かい。

「あっ、待って!」

バツが悪くなり少し早いけど勝手に上がらせてもらった。

何よ!何なのよ!

二人して私をバカにして人の気持ちを弄んで!

酷い、許せない!

どうしようもなくのしかかる苛立ちををただただ夜の街並みを走ることでしか解消するすべはなかった。



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