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お世話いたします……
【その他 官能小説】

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お世話いたします……-10

(10)

 しばらくは何も考えることができなかった。が、むろん何が起こったか、何をしたのかはわかっている。閃光が散ったような目映い快感と体を揺るがすほどの下腹部の熱い盛り上がり。……
 社長の胸にへばりついたように突っ伏したまま私は絶頂の余韻に沈んでいった。

 上になって夢中で上下に腰を動かしているうち、気が遠くなり、気づくと社長に抱き抱えられて高速の突き上げを受けていた。
「あ!あっあああ!」
さらに耳穴に舌が……。
「あうう!」
その直後、尻を持ち上げられて、一物が抜けた。腰の辺りに感じた微かな感触は精液が飛び散ったものだとあとでわかった。
 付着した精液を拭ってくれた社長は、私の耳元で囁いた。
「素敵だったよ」
私は陶然としながら、微笑んで言った。
「可愛くて……すごかった……」

 大きな波が引いても私の体は尋常ではなかった。ぐつぐつとまだ情欲の煮汁が残っていた。いや、正確にいえば新たに注ぎ足されていたと言ったほうがいいだろう。
 社長の体はうっすら紅潮して、昂奮冷めやらぬ様子だったが、ペニスは先ほどの漲りが錯覚だったのかと思うほど縮んでいた。まるで空気の抜けた風船みたい……。だが、亀頭は大きくて、規格外に成長したイチゴのように股間に蹲っていた。

 その後、私たちは2度風呂に入り、同じことを繰り返した。3度目のセックスが終わったのはおそらく真夜中のことだったと思う。回を重ねる毎に社長の持続時間は伸びて、私が達しても肉棒は動き続け、
「もう、だめ!」
何度叫んだだろう。
 最後はどうなったか憶えていないが、きっとそのまま眠ってしまったのだろうと思う。
 目が覚めた時、もう明るくなっていた。気だるさを感じながら天井を見つめていたのはわずかな時間だが、自分がどこにいるのかわからなかったからだ。
 慌てて起き上がった。社長は鼾をかいている。私は全裸。部屋を抜け出し風呂場に向かった。服はすべてそこにある。

(大変なことをした)
裸で階段を駆け下りて耳を澄ませた。柱時計は6時過ぎ。まだ帰ってくるはずはないが、専務の顔が浮かんだ。
(どうしよう……)
どうしようもない。
 急いで服を着て、考えた末、家を出た。社長に一言……頭をよぎったが、3回もセックスをした部屋に戻るなんて……。

(もう、仕事はできない……)
道々、一足ごとに気持ちが落ち込んでいった。なんであんなことをしてしまったのだろう。昨夜の記憶が断片的に思い出され、暗澹たる想いに包まれた。
 たぶん、私との出来事を社長が専務に話すことはないと思う。言うはずがない。だから、黙っていれば専務に知られることはない。……知らん顔していれば……。
(できそうもない……)
あんなに穏やかな専務を裏切ることはできない。……
 体から力が抜けていく感覚だった。後悔……それ以前に感情が散逸してとても収拾できる状態ではなかった。
(辞表は郵送で……)
そうするしかなかった。  

 


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