忘我7-1
この部屋で娘は悪魔に犯されていた。その母親も目の前で悪魔に貫かれ、夫がいることを忘れ、喜悦の声をあげている。強い男たちに導かれた性の悦びは、腹を痛めて生んだ娘さえも凌駕したのであった。
妻の不倫に衝撃を受け、我を忘れ、いなくなった娘を親身になって探すことさえしなかった。常に必死だったのは妻だった。凶器のような肉体に犯されていた娘でさえ、帰された家では健気に義雄を支えていたのだ。それに比べ、何の解決策も見いださず、投げやりになり、ただ打ちひしがれだけだ。
未熟なのだ、人間が。人生そのものが無意味だったのだ。今もこうして、強い男の前で、ひれ伏している。殺したいほど憎む岩井に恐れおののきながら。ワインのビンで、したたかに腹を殴打され、もう胃液すらでない。魂が喪失したような虚脱。もう、指の先さえ動かせない。
白い背が揺れている。向かい合った体位に変わっていた。
陶磁器のような丸みの中で、真っ黒い棍棒ような男根をヌラヌラと光らせ、奈津子の首を鷲掴みにして仰向かせ、上からか唇をぶせるようにして、こすり合わせていた。
田楽刺しにしているペニスの大きさも奈津子の体には不釣り合いだった。体格差は大人と子供だ。まるで童女を手込めにしてるようであった。
キスの水音だけが絶え間なく聞こえる。大きな動きがないにもかかわらず、結合部はぐっしょり濡れていた。ふんどしから見える巨大な睾丸は、奈津子の体液でヌルヌルになっていた。陰毛がべっとりと貼り付いたペニスは、奈津子の体の中にグッポリと埋め込まれ、ゆったりと抜き差しを繰り返している。ときおり大きく引き抜くが、すぐに深く戻し、わずかに腰をひねるだけだった。瓶色のペニスがいっそうてかりを帯びていた。
ペニスをくわえ込んだ周りの陰唇はミミズが蠢くようだ。褐色の菊門がイソギンチャクのようにエロチックに開いては閉じる。まるでペニスを貪っているかのように。快楽を求め、膣からおびただしい体液を生み出しながら蠕動している。
岩井は複雑な膣のうごめきを味わっているのだ。気を抜けばたちまち射精へと導かれる。岩井のいう、負けだ。
くびれたウエストにぐるりと腕を回して揺さぶった。
「あふん……」
唇が少し離れた。唾液まみれの唇を開いて求める表情に、岩井は激しい性欲をかき立てられた。
「もっとだ……恵の母の唾が、もっと欲しい……」
その言葉に奈津子がかすかに反応をみせたが、頭部を強く引き寄せ、しっかりと唇を密着させ、のど奥まで舌を差し込んでも、噛みつかれることはなかった。口の中の粘膜ごと吸い尽くしていくと、奈津子の膣がキュッキュッとペニスを締めつけてくる。
「んんッ……んふんッ……」
奈津子の口の中を分厚い舌で埋め尽くしていく。
クチュクチュというキスの音に、ヌチャリと粘液質の音が重なる。結合部の下には風船のような睾丸が揺れていた。
背を抱えていた手が、脇腹を撫でながら下がっていった。熟れた肉体を確認するかのように、肉を握り、撫でさすり、たっぷりの脂肪が詰まった尻肉をひん抱いた。
岩井の口の中に強い空気が吹き込まれた。音がしてキスが解かれ、奈津子の息と唾が岩井の顔にかかった。
「そ、そこはッ……ヒィ」
奈津子は全身をピンク色に染め、岩井にしがみついた。
膣からの体液のせいで、そこは湿っていた。中心を撫でると、指先をチュッと吸い込むような蠢きを見せた。
アヌスに性感帯が集中していることを、田倉にも岩井にも、簡単に見抜かれ、羞恥に怯えた。そんな部位に性感帯が集中しているなど、受け入れられなかった。しかし、どんなにいやがっても、執拗に弄くられ、指を突っ込まれ、押し開かれ、拡張されるごと、全身を貫く快感に恥じらいながらも酔いしれていった。男に指でアヌスを弄くられるといった破廉恥な行為は、性に奥手の人妻にとって、恐ろしいくらい甘美だった。
岩井の巨大なペニスを飲み込めるようになってから、そこに性感帯が集中しているのではなく、精神面からくるアブノーマルな嗜好からであることに気づかされたのである。
要するに肛門を責められることが、大好きな体だった、だけである。それに気づいてから、抱かれるたびに岩井の腕の中で泣きじゃくった。肛門を弄くってくれる、岩井なしではいられない体になっていた。