素直じゃないね-2
「諒子、おまえが欲しい。ずっと一緒に居てくれ。」
私は清志を突き放した。
「お断りよ。」
「え…。」
彼は明らかに動揺している。
「私は誰の物にもならないし、お願いされて一緒になんか居ない。」
見つめ合った。二人は、自然に目尻が下がり、頬が緩んでいった。
「私は私の心で、私の気持ちで、私の愛情で、あなたを愛します。清志。」
「僕は僕の心で、僕の気持ちで、僕の愛情で、おまえを愛するよ。諒子。」
目を閉じた。清志の唇が私の唇を這い回る感触が伝わってくる。
彼の手が背中に回ってきた。それは、どんどん力を強めていった。
「んん…。」
舌が入ってきた。大きく熱くどっしりと。そして、それ自体が一つの生き物であるかのようにヌメヌメと絡みついてくる。
私は気力を振り絞って唇を離した。
「シャワー、させて…。」
「うん。待ってる。」
モーツァルトのヴァイオリンコンチェルトは、第三番の第二楽章展開部に差し掛かっていた。