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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第8章 アソビ-6

思い返せば日曜日にホテルで1日過ごした時、いつも以上に激しく濃厚に体を求められた。どうして今日はそんなに自分の体を名残惜しそうに求めてくるのだろうと少し不思議に思った。それを見納めと取れば納得が行く。しかしそんな事は信じたくなかった。朱音は今週のクリスマスを一緒に過ごし、バレンタインにチョコを渡し、夏には海に行き熱く抱かれ続ける未来を描いていた。その未来が奪われる事になるだなんて信じたくもなかった。きっと吉川が嘘をついているんだ、そう自分にいい聞かせながら何とか精神を保っていた。しかし田澤にラインで確かめなかったのは辛い真実を知るのが怖かったからなのかも知れない。

クリスマス前日の23日、県警本部に田澤の姿がなかった。朱音は嫌な胸騒ぎを感じた。さりげなく県警本部内を歩き田澤の姿を探したがまるで見つからなかった。あの事件以降、殆どの署員と会話は持っておらず、聞こうにも誰にも聞けなかった。朱音は仕方なく交通課に戻ると吉川にパトロールに行くと言われ県警本部を出て行った。

(吉川さんに聞くしかない…)
あんな事を言ったのだ。吉川は田澤について詳しく知っているに違いない。助手席に乗りながら朱音はタイミングを見計らった。
「あの…」
「何だ?」
「あの…、田澤さんは本当に東京に行ってしまうんですか?」
勇気を絞って聞いた。吉川は微妙に笑ったように見えた。
「ああ。今日東京に行ってるはずだ。明日帰って来て2日間で引越しの準備をするって言ってたな。もう気分は東京に向いてるだろうよ。」
「…、私の事は何か言ってましたか…?」
「ん?フフフ、この間の日曜日、たっぷりセックスしたらしいじゃないか。何回もイカせたって言ってたぞ?」
「…」
「クリスマスイヴはこっちでの最後のクリスマスイヴだから家族と盛大に盛り上がると言ってたな。だからいくら誘っても無理だと思うぞ?」
「…家族と、ですか…?」
「ああ。もう立花と会ってる暇はないってさ。」
「嘘!!」
「本当さ。立花の面倒は俺に任せるって言ってたぞ?フフフ、一体どんな面倒を見ればいいのかな?」
吉川はイヤラシイ目つきで朱音を見た。
「お前、田澤さんの言う事は絶対なんだろ?ならこれからは俺に面倒を見られなきゃいけないよな?面倒見てやるぞ、いくらでもな。」
「…田澤さんがそんな事言う訳…ない。」
「いつまで騙されてんだよ。お前は遊ばれただけだ。田澤さんはただお前とヤリたかっただけなんだよ!」
「そんなの嘘!!」
「嘘じゃないさ。どうせもうラインしても電話しても出てくれねーよ。だってここまで来て家族にお前の存在がバレたら面倒だろ?田澤さんが好きなら田澤さんに迷惑かけるなよ。もうこのまま何も言わず田澤さんを東京に見送ってやれよ。あと2日でここを去るのに浮気相手が登場したら最悪だろ?お前の存在は田澤さん家族にとって不幸でしかないんだからな。」
「…」
恐らくそれが真実だろう。しかし朱音はそれを信じたくなかった。この一年、田澤に与えられた愛情を、他人に汚される事が許せなかった。朱音は遠くを通り越し、その先を見つめるかのように視線を窓の外に向けていたのであった。


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