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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第8章 アソビ-5

クリスマスイヴまであと2日という頃、それまで吉川に対して気の無い対応しかしていなかった朱音が感情剥き出しで言い返すと言う珍しい事が起きた。それは吉川がついつい口を滑らせて言ってしまった言葉が発端であった。

吉川もそろそろ田澤が東京に行き、捨てられた朱音を抱ける日が近づくにつれ、忍耐の限界が来ていたのであった。会話の中でついついその欲望を口にしてしまったのだ。

「立花…、おまえいつも昼間田澤さんと何してるんだ?」
「…指導です。」
「指導ったって色々あるだろう?どんな指導だ?」
「吉川さんにさ関係ありませんから…」
「関係なくないだろ?俺はいつもお前を1時間も車で待ってるんだぞ?」
「それは申し訳なく思ってます。」
「人を待たせて、まさかいい事してるんじゃないだろうなぁ?」
吉川はニヤニヤしながら朱音を問い詰める。
「…してません。」
「そうかぁ?たまに髪を乱して胸元が緩んでる時あるよなぁ?お前、田澤さんとヤッてんだろ?」
朱音は吉川と目線の先を合わさず俯いたまま答える。
「…してません。指導です。」
そんな朱音をついつい虐めたくなる吉川。
「5年ぐらい前かなぁ…、ある女刑事が同僚と昼間ラブホテルに行って、拳銃を下半身に入れられてる写真が流出した事があってなぁ。大問題になった事があったんだよ。」
「…」
「お前、そんな事してないよなぁ?」
明らかに動揺する朱音。
「してません…」
そう答えるのが精一杯であった。
「その女刑事はスケベでなぁ、捜査でも体を使って重要な証言を引き出していたそうなんだよ。ヤクザとも平気で寝てたらしいんだ。お前もそういうクチか?」
「そんな事してません!」
語気を荒めてしまった朱音はすぐにまた俯いた。
「立花、お前田澤さんの事が好きだろ?」
「…」
「図星か。田澤さんの奥さん、超美人だぞ?お前がかなう相手じゃないよ。諦めろ。」
「…」
朱音は言葉を出さずに一瞬吉川を睨んだ。その生意気な態度にカチンと来た吉川は言ってはいけない事を暴露してしまう。
「それに、田澤さん、26日から東京に転属するんだぞ?」
「えっ!?」
寝耳に水であった。一瞬目の前が真っ暗になった。ハンマーで頭を殴られたかのような衝撃を受けた。
「嘘…」
「嘘じゃないさ。もう決定事項だ。どんなに好きになってももう会えないよ。だから田澤さんの事は忘れて俺と…」
だからから後の吉川の言葉などもはや耳には入らなかった。朱音は衝撃的すぎる突然の話に胸の慟哭が抑えきれなくなった。

(田澤さんが…いなくなっちゃう…?)
それから県警本部に戻るまでの記憶が一切なかった朱音であった。


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