裸の旅団-2
ケインはアベルラの首を巧みに誘導する。
「んふふふ、ははくなってひた」
アベルラは天真爛漫に笑い、ケインの陰茎をしゃぶり続ける。ケインはアベルラの頭を両手で掴むと、強引に自分の陰茎をアベルラの喉に突き刺した。
「ふまったふうう」
「こういうのが好きな客も居るんだよ。出来るだけ頑張って舌を思い切り動かして、苦しいけど我慢だよ?いい?」
「ふぃいい。うぐえっ」喉まで差し込まれた肉をアベルラが懸命に飲み込んで行く。苦しい体勢ながら、本能的に尻を高く上げて輪を描くように動かす様はその趣味のない男をも魅了して止まないだろう事は想像に難くない。
荷物でごった返したトラックの荷台の隅で二人の裸体が激しく動く。車体の揺れと混沌となって二人の汗がひとつになって流れ落ちる。まるで東洋の切り絵のようになってトラックのエンジン音と二人の嬌声が重なり、幌の隙間風が二人の肌を切る。
ケインは両手をアベルラの頭に添えながら、見え隠れする砂塵を瞳に映す。荒野と砂塵と歪んだ風景。次の街まではどのくらいだろうか? そして、その街はどんな"風習"に満ちているか、ケインは想像できない。いつだって「街」は想像を超えている。だから旅は常に不安と期待が入り交じった混沌となってケインを悩ませる。ただ、アベルラと肌を合わせている時は少なくとも忘れられる。車内に吊された古い防風ランプがけたたましく揺れているのをぼんやりと見つめながら、下半身の一点に意識を集中する。
ただ、ケインの忌まわしい性癖から、肛門がゆっくりと柔らかくなり、奇妙な疼きが躯の芯の部分を溶かして行く。
「はい、今日のレッスンはお終い」ケインはアベルラの顔を硬く立ち上がった陰茎から離す。アベルラはその端正な顔立ちの眼を半眼にして、涎を垂らして左右にぐらぐら揺れた。アベルラが「そっち」に切り替わるのを見極めるのは簡単だ。焦点が曖昧に揺れ出して、紅く濡れた口唇が半開きになるからだ。
「欲しいんだろう?」
「…うん。すごく欲しい。どっち? 前? 後?」
「…今日は前でいいや」
「やたーっ!」無邪気にアベルラは笑い、膝立ちになってケインの上に跨る。長いカールした金髪がケインの頬を打つ。
ケインはアベルラの股間の割れ目を指で探った。本当にこれがマナビ姉さんみたいに毛が生えて、赤黒くなるんだろうか。アベルラの性器は幾何学的なほど単純だけど、ぷつりと指で割っただけで、吹き出すように生暖かい愛液が溢れ出てたちまち膝まで流れてゆく。触れられただけで自律した別の生き物のように蠢き波打つ細い腰が、ケインの指を吸い付くように飲み込んだ。
一体アベルラは今まで、何十人の男に抱かれてきたのだろうか、考えてしまう。幼女の好きな変態はどんな街にだっていくらでも居る。今までの経験上、宗教的戒律が厳しかったり、官憲の権力が大きいのにそれは比例する。勿論「街」自体がある程度以上豊かでなくてはならないが、アベルラの市場は大きい。数だけならケインより多いはずだ。
そもそも、ケインの場合はかなり高級な「商品」であって、親方も値切られはしない。というより、金をケチるような人間はケインを買わない。ケインのような極端に若く美しい男娼はあまりに稀少なのだから。一日買われるだけで、アベルラの何十倍もの金が動く。そして、一度ケインを玩具にした奴は例外なく満足するのだから。
そして、親方は裏の方から手を回して顧客を脅迫し、ケインを売った金よりも何倍もの金を客から搾り取る。何故か名声を手にする者ほどケインを欲しがるからだ。マナビ姉さん、ドンキの兄い、百眼のばばあまで、客との寝物語で必要な情報をいくらでも仕入れる。そしてこの「裸の旅団」がより潤うのだ。
アベルラの性器がケインの陰茎をゆっくりと飲み込んでゆく。彼女の下腹にくっきりケインの陰茎が浮き出して露わになる。アベルラはお喋りだ。この仕事ではそれはとても大切な才能だ。