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サンタ・カンパニー
【ファンタジー 官能小説】

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「……イテテ」


身体の痛みに顔をしかめながらうっすら目を開ければ、一面に広がる冬の曇り空。


サンタ・カンパニーの社長室の暖かさと、華やかなクリスマスキャロルのBGMはどこにもなく、代わりに車の走る騒がしい音や、真冬の凍るような寒さと、そして何やら生臭い匂いが俺の意識を一気に覚醒させる。


咄嗟にここは地獄かと思ったが、ふと手を動かした際にカサッと音がして、そちらを見やると、


「……なんだ」


と、一人で安堵のため息を吐いた。


音の正体はビニール袋の山だった。


そう、俺がいたのはゴミの集積場。


たくさんのゴミ袋の山の上に落ちたらしかった。


なるほど、サンタ・カンパニーをクビになった奴はゴミってわけか。


あの三田さんの最後の言葉を思い出すと、情けなくて笑えてくる。


ゴミみたいに捨てた奴に「メリークリスマス」ってか。


しかも、サンタ・カンパニーをクビになったってのに、俺の格好は未だサンタクロースの姿のまま。


制服も回収しないで人間界に追放なんて、あの人はよっぽど俺のしたことにハラワタ煮えくり返っていたんだろうな。


身体を捻ってゴミの山から降り、ゆっくり立ち上がるとクラッと立ちくらみがした。


額に手を当て、ギュッと瞑った瞳からは涙がジワリ。


……俺、サンタクロースの仕事、大好きだったんだけどな。


大変だったけど、やりがいのあったこの仕事。


スヤスヤ眠っている子供達が、朝起きてプレゼントに気付いた時の顔を想像するだけで、幸せになれた。


クリスマスは1人でも多くの人に笑顔になってほしいと心から思う日。


それはもちろん、子供だけに限った話だけじゃない、もちろん大人もみんなみんな、笑顔になってほしい。


そう、大人も笑顔に。


その時、瞼の裏に蘇ったのは莉奈の笑顔であった。






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