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「そば屋でカレーはアリですか?」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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06.陥穽-4

「すまん、乱暴しちまって」
 ユカリはくすくす笑った。
「借りてきた猫みたい。すっかりおとなしくなっちゃって。でもこれであんたは亜弓を責めることができなくなったわね」
「なんか、俺……」
「何?」ユカリは仰向けになって両腕を枕にした嶺士に身体を向けて、左手で自分の頭を支えた。
「調子のいいことやってるな……」
「何を今さら」
 ユカリはまた笑った。
「そう、今さらだけどさ、亜弓への復讐のつもりでおまえをこんなとこに連れ込んだ上に、自分の性欲を満たすためにその身体を借りたってことが、なんか申し訳ないって言うか……」
「失礼ね」ユカリは嶺士の鼻をつまんだ。「あたしをオナホ扱いしないで」
「だってそうだろ? 俺ムラムラきちまって、無理矢理お前を、」「あたしだってやりたかったもん」ユカリは嶺士の言葉を遮って言った。
「そ、そうなのか?」嶺士は意外そうに言った。
「丁度あんたもあたしも身体が疼いてた。だから都合良く抱き合って、二人とも気持ち良くなった、ってことじゃない」
「お、俺は気持ち良かったけど、おまえはどうなんだ? 良かったか?」
「うふふ、満足したわよ。初めての時とは大違い」
 ユカリはまた嶺士の鼻をつまんだ。
「よせよ」
 ユカリも仰向けになって、嶺士の手を握った。
「sexもギブ・アンド・テイクじゃなきゃね。やっぱり」
「確かにな」
「でも、考えてみれば何でもそうじゃない? 対等な大人同士の付き合い方の基本よ。他人でも、友だち同士でも。恋人同士や夫婦ならなおさら」
 嶺士はユカリの手を握り返し、天井を見つめたまま呟いた。
「そう……だよな、ギブ・アンド・テイク」
 ユカリは眉尻を下げ、嶺士のその寂しそうな顔を見て、ふうとため息をついた。
「あっ!」
 出し抜けに嶺士が大声を出し、身体を起こした。
「どうしたの?」
「お、俺、ゴム付けるの忘れてた!」
 ユカリは困ったようにかぶりを振った。「あ〜どうしよう、あたし妊娠しちゃうよ〜」
「ご、ごめん、ど、どうしよう」
 嶺士は子供のようにおろおろして青くなっていた。
 ユカリは嶺士の手を取り、再び横に寝かせた。
「ご心配なく。ピル常用してるわ」
 はあっと、安心したように大きなため息をついた嶺士を呆れた様に見て、ユカリは言った。
「でも、危ない時期に女と生でsexしちゃったら、モーニングアフターピルに頼るっていう方法もあるわよ」
「なに? モーニング、なんだって?」
「『モーニングアフターピル』。緊急避妊薬のことよ。妊娠の可能性のあるsexの後72時間以内に飲めば高い確率で避妊できるの」
「なにっ? そんな便利なモンがあるのか?」
 ユカリは遠慮なく呆れ顔をした。
「あんた、もっと勉強した方がいいんじゃない? 幾つになっても物知らずね。もしかして奥さんが家出した後、ゴミ出しすらできない男なんじゃないの?」
「バカにすんな! ゴミ出しぐらい……」嶺士ははっとして口を閉ざした。
「何? どうしたの?」
「そ、そのモーニングなんとかっていう薬、商品名は?」
「一番有名なのは『ノルレボ』ね。通販でも売られてるわ」
「ノルレボ! あれはそれだったのか!」
「何? なにか覚えが?」
「台所のゴミ箱に入ってたんだ」
「いつ見つけたの?」
「だからゴミ出しの時だよ。亜弓が飲んだのはそれだったのか。っていうことは、智志とのあれでは妊娠しないってことなんだな」
 嶺士はほっとしたように言った。
「でも、なんでそんな薬……常備してたのかね」
 ユカリが横目で嶺士を睨みながら言った。
「あんたが勢いで中出しした時のためにストックしてたんじゃない?」
「……か、かもな」
 嶺士は頭を掻いた。


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