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【SM 官能小説】

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宴 〜形〜-2

アロマテラピーのためのカウンセリングを受けた後、智佳は納得した声を出した。
「由香理さん、本職なんだからマッサージがうまいはずですよね」
アロマポットにお湯とエッセンシャルオイルを垂らし、アロマテラピーの準備をしながら由香理は苦笑する。
−真矢へ簡単に事情を説明した後、二人は個室でリラクゼーションマッサージに取り掛かろうとしていた。
「……でも、どうやって胤真と知り合ったんですか?」
智佳はふと、疑問をぶつける。
考えてみれば、胤真と由香理の接点などまるでないのだ。
「……恥ずかしながら、出会い系の掲示板です」
意外な一言に、智佳は目を丸くする。
「もともと私、SMに関してはほんの少し興味があった程度なんです。ある時それを良く行く掲示板にぶつけてみたら、いくつかレスが来て……比較的近くにいる人達と会ってみたんですね」
大胆というか、何というか……。
智佳は沈黙する。
「色んな人がいて、色んな事がありましたけれど……どの人も一度会うだけならと、自分の快感しか求めていませんでした」
「……」
常に自分より智佳が感じる事を優先させている胤真しかろくに知らないので、智佳は口を閉ざした。
「そんな時……胤真様とお会いしたんです」
由香理は苦笑する。
「何度かメールのやりとりをして、実際に会ってみて……まだ高校生だと知った時は、腰が抜けるほど驚きましたけど」
智佳の足元に膝をつき、由香理はマッサージを始めた。
「でもまあ、せっかく会ったんだから……と思ってホテルに誘いかけたら、断られたんです」
智佳は目を丸くする。
「後で理由を聞いてみたら、私が真性でない事を見抜いたからだと」
智佳は足の筋肉を引きつらせた。
由香理のマッサージに、くすぐったさを覚えたのだ。
「それでも何度か会って話し合ううちに、体を重ねて……今はもう体の関係はありませんし、お互いによき相談相手といった所でしょうか」
「へえ……」
「胤真様が初めてあなたを抱いた時私が居合わせたのは、本格的な調教のさわりの部分だけでも見ておけば、真性でない私がSMの世界から足を洗えるだろうと胤真様が判断なさったからなんです」
被加虐の精神が薄い由香理がこっちの世界にはまり込むのは、危険だと。
「なるほどぉ……うっひゃあっ!」
ふくらはぎを撫でられ、智佳はのけ反る。
「……あれ?でもあの時胤真、最近堕とした人って紹介……」
由香理は微笑んだ。
「細かく説明するくらいなら、いっそそう言った方が手早いでしょう?」
「ああ……」
あの時いちいちそんな説明をされていたとしたら、恐怖心も怒りも治まっていただろう。
「……あ。それじゃあ由香理さんは、胤真と私がどういう関係でも嫉妬しませんよね?」
問い掛けに、由香理は怪訝な顔をした。
「それはまあ……嫉妬できるほど深い関係とは言えませんし」
「なら、一つ頼まれて欲しい事があるんです。胤真に内緒で」
智佳はごしょごしょと、由香理に耳打ちする。
「……そんな事を?」
由香理は微妙な顔をした。
「お願いします!」
「まあ……構いませんが……」
智佳は顔を輝かせる。
「ありがとうございます!これで胤真に……」
その呟きを口の中でごまかし、智佳はマッサージに体を委ねたのだった……。


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