投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

真っ赤なリースの最初へ 真っ赤なリース 34 真っ赤なリース 36 真っ赤なリースの最後へ

第4章 過信が生んだ落とし穴-8

いつも穏やかなスーパーの店内。男が女を引っ張りながらナイフを振り回し中に入ってくるという物々しい雰囲気に悲鳴が飛び交い慌てて逃げる客達。店内は騒然となった。

「待ちなさい!もう逃げられないわよ!」
店の入り口の自動ドアを入った辺りから銃を構える朱音。澤田が振り返り美弥妃の首にナイフを突きつけたのは野菜売り場であった。
「しつけー女だ!やっぱさっきレイプしちまえば良かったぜ!」
朱音の構える銃に細心の注意を払いながら周りの様子を伺う澤田。
「あなたらの部屋にあったパソコンは押収して分析してるわ?あなたのした犯行は全て分かってるのよ?これ以上の犯行はやめなさい!」
「クソ…、テメーさえいなきゃ今頃この街ともおさらばして悠々と生活だきたのによ!」
「牢屋の中で悠々と生活すれば?ただ性犯罪者は色々イジメられて大変らしいけどね!」
「るせぇ!」
朱音の動向を注視しながらいざとなったら美弥妃も小森も見捨てて逃走するつもりでいる澤田。そんな雰囲気を朱音は素早く感じ取る。
(きっと刺しはしない。彼女を盾にして逃走する事を考えてるはず。)
そう読んだ朱音は少しずつ距離を縮める。

「来るんじゃねぇ!コイツを殺すぞっ!!」
美弥妃の首に刃先を寄せた。
「無駄な抵抗は止めなさい!あなたはもう捕まる運命よ!?」
「分かんねーだろ、そんなの!だからそれ以上寄るんじゃねー!」
凄む澤田に朱音は腹の中でフッと笑った。
(刺す気なんてない癖に。)
と。今まで何度か人質を取り抵抗を試みる犯人と対峙した経験がある朱音。その全員が最後の最後に人質を放り投げて全力で逃げた。死んでしまえば人質の意味はない。だから人質はあくまで生かしておいて初めて人質なのだ。人質を失う事がどれだけ不利な事なのかを澤田は分かっていると踏んだ朱音は銃を構えながらジリッ、ジリッと距離を縮めた。

朱音の読みは悪くはなかった。しかし今までの犯人と澤田は違うという事を計算に入れていなかった。澤田はもう何人もの女を殺害している男だ。もはや人を殺す事に慣れてしまっている。朱音の刑事としての自信はこれまでの経験の積み重ねによるものだ。朱音の計算の狂いは、まだ殺人犯と対峙した経験がない事により生じたものだ。過去の経験からきっと人質を放り投げて逃走する…、そう決めつけてしまった過信が朱音を落とし穴に突き落とす要因になったのであった。

「寄るなと言ってんのが聞こえないのかよ!!」
忠告を無視し距離を詰めてくる朱音に激昂しそう叫んだ澤田。次の瞬間、不測の事態を目の当たりにした朱音の脳は、まるでコンピュターウィルスに感染したかのように五感全てが麻痺してしまったのであった。

澤田に握られたナイフが美弥妃の首にグサリと突き刺さったのであった。


真っ赤なリースの最初へ 真っ赤なリース 34 真っ赤なリース 36 真っ赤なリースの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前