第19話 『玉入れ、棒引き、ローハイド』-1
第19話 『玉入れ、棒引き、ローハイド』
南原から見て、生徒たちは実にキビキビとよく動いていた。 入場の行進隊形なんてあっと言う間に仕上がるし、退場時の駈足も掛け値なしに全力疾走だ。 生徒達は大人しく観戦しておりマナーもよい。 教頭からは『Bグループには掻痒剤を塗布してある』『Aグループは掻痒剤に加えて催淫剤を摂取している』と聞いているが、本当だろうか。 媚薬を上回る効果を備えた『催淫剤』に苛まれてなお正気を保てるケースは多くはない。 グラウンドでいつオナニーを始めてもおかしくないというのに、確かに頬は官能っぽく赤らめているが、性欲に身を任せて自我を見失った生徒は見当たらなかった。
プログラム5番。 全校生徒による『玉入れ』
「こちらが使用する『玉』になります」
頼んでもいないのに、教頭は実物を用意していた。
「お手に取って御覧になります?」
「結構。 せっかくの御心遣い、無碍にするのもなんですが」
「……失礼しました」
すげなく南原は断った。 触らなくても一目見れば想像できる。 大きさは親指大、形状はラグビーボールのような紡錘型のゴムボールで、きめの粗い表面から察するに素材はシリコン製で間違いない。 柔らかい棘で表面が埋まっており、摩擦係数が高そうな形状をしていた。
プログラムに付属している『ルールブック』に目を通す。 競技は、地面に蒔かれた玉を選手が頬張り、ステージ中央に設置された『籠役』に入れた個数で競うらしい。
「ふむ。 玉入れにしても、学園風にアレンジしてるわけか」
グラウンドでは準備係に当たった生徒が『籠役』の生徒達を設置しているところだ。 ごく普通の『玉入れの籠』が5つ並び、それぞれの籠に少女が1人ずつ入る。 しゃがみながら足を首の後ろに回して組むと、股間が籠の真下に来るように身体を入れ替え、すっぽり籠に納まった。 そのまま籠を立ち上げると、地上から1.5メートルほどの高さに、股間丸出しな少女が詰まった籠が並んでゆく。
籠が並んだところで競技開始。 手は背中に回して組み、自分から腕を封じた上で、一斉に駆けだす生徒たち。 口々に(文字通り)落ちているボールを集め、まとめて口に含む。 1つ1つ丁寧に咥える生徒もいれば、足で一箇所に集めてから一息に頬張る生徒もいる。 そうしてリスみたく頬袋を一杯にした生徒たちは、それぞれの籠に駆けつけた。 網の隙間からビラビラがはみ出した籠役の肛門に吸いつくと、口腔内の玉を次々送り込む。 舌で肛門を解す生徒もいるし、口を窄めて唇ごと肛門に挿そうとする生徒もいる。 どちらも手は使えないため、尻の割れ目に鼻づらから突っ込んでゆく。 その勢いたるや圧巻だ。 フガフガいう鼻息まで聞こえてきそうで、股間に浅ましくむしゃぶりつく様子に、見ている側まで恥ずかしくなる。 やがて全部の玉を捻じ込んだ少女は、再度ボールを拾いに駆けだした。 代わりに別の頬っぺたを膨らませた少女が籠役の肛門に密着する。 そうこうするうちに籠役のお腹が膨らみだし、玉がお腹に呑まれるスピードが遅くなって、競技終了のピストルが鳴った。
ただし競技が終了しても、玉入れの時間は終わらない。 入った玉を数える作業が残っている。 審判役の少女が籠役の少女に近づいて、ビデオカメラを網越しに股間へ宛がった。 南原たちが観戦するテント脇に設置してあったスクリーンに、審判役から映像が届く。 至近距離で接写した籠役少女の肛門が、これでもかとばかりドアップで映っている。 『ひとぉーつ!』 審判役の掛け声に合わせ、くすんだ飴色の蕾から、ポポポッ、3つの玉が飛び出した。
『ふたぁーつ!』 ツプツプツプッ。
『みーっつ!』 ポムポムポムッ。
『よぉーっつ!』 ポコポコポコポコッ。
時折4つ、或は5つ飛び出すこともある。 真っ白な玉が顔をだすたび、肛門の皺がカンカンに伸びる。 息をしているかのように収縮を繰り返す肛門が開閉したと思うと、産卵の要領で玉が勢いよく吐き出される。 ルールブックによれば、2秒間に3つ以上玉を出さないとカウントしない。 また、3つ以上玉を出した場合でも、3つ出したという扱いらしい。 ということは、スクリーンに大写しになった肛門から、計ったように3つずつ玉が現れるのは、あれは少女たちが括約筋をコントロールして、そのように振舞っているんだろう。 年頃の少女が見知らぬ住民に女の持ち物を晒しつつ、ただただ決められた数排泄することに集中しなければならないという状況に、南原は何ともいえない郷愁を感じた。