源爺の復讐1-1
「西田様、これをご覧下さい。先程素人さんがお話された事では…?」
源爺はタブレット端末からネットを探り、業界ニュースを開いていた。
「〇〇〇商事〇〇ブランド買収に…だと。俺には関係ねえよ!」
「この男…!黒沢だ!間違いない!」
源爺が声を荒げタブレットを睨みつけた。
「この男、実はSMマニアで、昔の私の店を乗っ取った奴ですよ。金も力もあって私は叩きのめされました…。それから何とかこの店を持てましたがね…。」
源爺は震える声でそう言った。
「あくどい奴か…。こいつにも償って貰うか?それにこの女なんだ!高飛車にも程があるだろ!でもよ、顔も身体も極上じゃあねえか!」
「それはそれは。西田様のお力添えがあれば私の無念も晴らせます。この女もいい女でございますな!さて、いかがしましょう。」
源爺の無念さは鋭い目付きに変わり、二人でプランを練り、早速行動にうつした。
「キキッー!キー!ドーン!ガシャー!」
真っ赤なポルシェの急ブレーキの音と、何かがぶつかる音が深夜の道に響いた。
「な…何してるの!どいてよ!」
真っ白なパーティードレスに身を包んだ女は、俺を睨みつけクラクションを鳴らした。
「てめぇ!警察と救急車呼べ!親父ー!大丈夫かー?」
「私急いでるの!それに飛び出したのは貴方達でしょ!車に傷があったら修理代請求するわよ!」
女は思った通りの高飛車女で、源爺を抱き起こした俺の横を素通りし、ポルシェのボディを見ていた。
「修理代請求させて頂きます。明日弁護士と話をして頂きます!よろしくて!」
女は俺達を見下ろし言葉を吐き捨てた。
「おっと!ひき逃げ現行犯で逮捕だな!」
俺が立ち上がると女は慌てて車に乗り込もうとした。
「おやおや!何だか酒臭いなー!お姉さん、ひょっとして酒気帯かな?」
「ちょっと!汚い手で触らないでよ!私を誰だと思ってるの!私の父は…!ちょっとどこに電話してるの!」
女が車に乗り込む寸前で腕を掴み、スマホから電話をする振りをした。
「警察だよ!酒気帯運転、ひき逃げ犯確保したんだから当然だろ!」
「やめなさいよ!悪いのは貴方達でしょ!」
「はあー!悪い奴を捕まえるのは警察の仕事だろ!どっちが捕まるか楽しみだな!クックック…!」
「け…警察は…!こ…困るって…!お金で解決してあげるわ!いくら欲しいの?」
『クックック!形勢逆転だな!欲しいのはお金じゃなくてー!お前の身体だよ!クックック…!』
「親父、大丈夫か?この女示談にしたいらしいぜ!仕事の補償とかもしてくれるらしいぜ!良かったな親父ー!」
「ウゥッ…!イタタタタ…!とりあえず店に戻ろう…!ウゥッ…!」
源爺はフラフラと立ち上がったが、再び真っ赤なポルシェの前に倒れ込んだ。
「こりゃー重症かもな!補償は高く付きそうだな!とりあえずお前の車で親父を店まで連れていけ!示談交渉はそれからだ!」
「わ…わかったわ!さっさと乗りなさいよ!クソッー!」
悔しがる高飛車女を無視し、俺達は車に乗り込み、女は指示した通り源爺の店に車を走らせた。
「ここだ、店の駐車場に停めろ!」
「いちいち指図しないで!何なのこの店!こんなところで話をするの!今ここで片付けてよ!いくら欲しいの!」
相変わらず高飛車な女は不機嫌そうにバックから財布を出し、万札を掴んだ。
「手持ちで済むわけねえだろ!とっとと降りろ!」
俺が強い口調で言うと女は渋々と車を降りた。
店は既に閉め、照明も消えここがどんな店なのか、女はまだ気が付いてなかった。
「さっさと入れ!話が済んだら帰してやるよ!嫌なら警察呼ぶぞ!」
「わかったわよ。だ…だから警察は…。」
女は徐々に「警察」と言う言葉に怯え始め、源爺を抱き抱えた俺の後を付いて来た。
「な…何なの…!ゴホッ…ゴホッ…!」
VIP専用の部屋に入り、照明のスイッチを入れると部屋は源爺が店を出る前に焚いたお香の煙りが充満していた。
俺は源爺を隣の部屋に連れていくと、女は嫌な顔をし、ずけずけとソファーに座った。
白いパーティードレスのスリットから見える太股に、俺の股間には早くも熱いマグマの様な血が集まり始めた。