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熱闘!全裸体育祭
【教師 官能小説】

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第4話『雑談、職員室』-1

〜 教員たちの2学期・体育祭 〜
第4話 『雑談、職員室』



 職員室にて。

 学期はじめはいつになっても慌ただしい。 教科準備は勿論、特別活動や道徳の予定に圧迫される。 学園外への遠足、研修、講演会といった非日常行事の采配は担任の仕事だ。 延々授業だけしていればいい、というわけにはいかない。 過年度の事例を参考にしつつ、今年度予定を立てて、諸々をセッティングして――生徒の様子を確認する間もなく時間が過ぎる。

 ……なんて書いていたら、まるで『普通の教員』みたいで、我ながら苦笑を禁じ得ない。 自分が、いわゆる旧世紀の『普通の教員』とかけ離れている現実は、目の前の資料が証明してくれる。 私が参考にしている去年、一昨年の二学期特別活動……『校外便器体験』『下肥運搬体験』『発酵糞尿実験』『哺乳類別排泄物テイスティング』『畜舎残飯清掃体験』『下水処理装置装着体験』……まったくもって排泄物や汚物やらに縁が深い学年だ。 おそらく当時の担任が相当なスカトロ趣味だったに違いない。 

 私だって、汚物が人格矯正に有効なのは認めている。 汚物と慣れ親しむ過程は、肥大した自己認識を改め、自身を物品に貶める覚悟を涵養し、羞恥を乗り越えて自らを披露する姿勢を育む。 ただ、だったら日がな一日汚物に塗れて過ごせばいいかとなると、それは極端すぎるんじゃないだろうか? 物事には『適当』という概念がある。 偏りを排し、中道を保ち、ある程度左右に振れる幅を残すからこそ、極端な経験が強烈なインパクトをもたらすわけで。 日々激烈な経験ばかりぶつけていては、感受性は麻痺するしかない。 毎日スカトロジーに浸らせてどうなるかといえば、社会に有用な謙譲性ある牝に育つ可能性よりも、単にスカトロジーに耐性があるだけのつまらない牝に堕ちるだけだ。 それでは学園の卒業用件は充たせても、Aランク社会人には程遠いわけで……私は、私の生徒を『ただのスカトロジスト』にするつもりはない。 だから、こうまで徹底したプログラムを踏襲することもない。

 ただ、プログラムを変えるには相当なエネルギーがいるのも事実。 何しろ新しいプログラムを取り入れるにしても、そんなものは既製品があるわけなくて、結局のところ自分で一からプログラムを創る羽目になる。 踏襲するより創る方が、少なく見積もって10倍はエネルギーをかけなくちゃいけない。 

「……」

 チラリ。 はす向かいのデスクで仕事している13号教官を眺める。 3組担当で国語科の13号教官は、自他ともに認める『仕事ができる教員』だ。 何をするにも、とにかく早い。 2学期の行事予定表作成業務も、私がまだ9月第2週で詰まっているというのに、もう12月に入っている。

 ふいに、13号教官と目線があった。

「何か御用?」

「……失礼しました。 特に用があってではなく、ただ、もう予定表が12月まで埋まってらっしゃるので、お仕事の段取りといい、手際といい、頭が下がる思いでいます」

「別に、これくらいどうってことないでしょう。 例年通りで問題ありませんもの」

「特に変更はされないご予定ですか?」

「しませんね。 完成されたプログラムというのは、得てして些細なことから綻ぶものです。 年間通じて踏襲してこそ、1つ1つが意味をもつわけでしょ。 それをわざわざ修正してグレードを落とすなんて『石橋を叩いて壊す』並みの愚行ですよね、わたし的には」

「……そうですね」

 サラリと。 たった今私が取り組んでいる行為――つまり過年度の特別活動をアレンジしている作業のこと――を全否定されてしまった。 確かに13号教官がいうことも一理あるし、そこは充分に承知しているので、反論するつもりはない。

 ちなみに13号教官が予定している特別活動の主題目・副題目を追うと、次のような感じになる。

『行進不合格者選抜体罰――体育祭訓練で行進が未熟だったものを選抜し、竹刀、鞭、鋲パッド、釘バットでもって萎えた性根を叩き直す』

 ……竹刀、鞭はまだ分かる。 けれど『鋲パッド』『釘バット』となれば穏やかじゃない。 叩かれて蚯蚓腫れ(みみずばれ)になるのはしょうがないが、傷口から出血するのはいただけない。 だいたい、ただ『叩く』だけなら、理由なんて後付けでいくらでもできるし、私なら『行進』に絡めた指導に変更したいところだ。 例えば『針が短く出血しない程度の剣山(けんざん)を用意し、その上で行進させる』とか『強烈な【足つぼ踏み】を用意し、その上を足踏みさせる』なんて、どうだろう。

『棒倒し未達者選抜体罰――棒倒し競技で活躍しなかったものを選抜し、肩衿締め、紋締め、三角締めでもって怖じけた根性を締め直す』

 締め直す、といってもすぐに窒息して落ちてしまうのが見えている。 落ちたら、おそらく直後に活を入れ、その場で蘇生させるんだろうが、なんだか予定調和で気に入らない。 積極性がなかった点を反省させるなら、私にすれば、ただ息を強制的に止めるんじゃなくて、もう少し工夫があっていい気がする。 つまり、積極的に行動した上で窒息してこそ、反省し甲斐があるというもの。 例えば『50メートルプールに蓋をして、潜水で端から端まで泳がせる』なんていうのは効果的ではなかろうか。 もちろん、50メートル進めずに息がきれて、大量に水を飲んで溺れることを見越し、救助する手段を用意した上の話だ。 全力で泳いで、それでも溺れて、窒息の恐怖にもがいた上で助けて貰った方が、生徒にすれば今後の行動を改めるきっかけになるのではないか。



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